若手技術者の中には、特に保線作業が外注化され直接作業に触れたくても触れる機会が少なく、どのように作業が行われているか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?下記作業の手順は一例ですが挙げておきます。
2.レール交換(概ね12m以下)・溶接・設定替 ※切断前緊張法
前提条件:レール運搬、事前軌道検測済み
- 搬入路から軽便トロで「レール山越器」「半コロ」「発電機」「ボルト緊解機」「レール切断機」「レール穿孔機」「グラインダー」等の大型器具を作業現場まで運搬する ※移動距離が長い場合は、小型器具も全て運搬する
- 緊張器を囲むように仮ボンドをグラインダーで研磨してから取付ける
- 溶接部前後2丁分の締結装置を緩める
- 緊張器をセットし、レール交換箇所を囲み、保持緊張として作業時温度分の圧をかける
- 交換箇所+前後5m分の締結装置をボルト緊解機で緩め、PC油をつける
- 溶接業者によるガス切断後、ボンドを塗布したパッドを配布し、山越器でレールを入れ替える(片方の指示された方にレールを送り、開先のくさびを当て詰める)
- 再度、パッド直しを行う
- 緊張器で補助緊張分の圧を加える
- 溶接部以外の締結装置全てをボルト緊解機で緊締していく
- 発生レールをレールフォークで倒し、建築限界余裕量を確保し、底部に付いたパッドを外す
- 溶接業者が溶接・研磨・踏面測定する
- 仮ボンドを取り外す
- 上記9で緊締した締結装置をボルト緊解機で緩解していく
- 緊張器の圧を逆流(解放)させ、ピンを抜き、ロッドを片付けていく
- 全ての締結装置をボルト緊解機で緊締していく
- 緊張器のシリンダーが格納されれば、スイッチをOFFにし、レバーを左右に振り、片付ける
- まくらぎ穿孔機で受栓を少し穿孔し、スパイキハンマーや犬くぎ打ち機で犬くぎを打っていく
- 緊張力がゼロになったのを確認してから、ホースのカプラーを抜く
- 溶接業者が溶接部を水で冷やし、探傷・塗色する
- タイタンパーで溶接部をつき固めし、バラスト整理、コンパクターで締め固める
- 点検ハンマーで締結装置を打音確認する
- 事後検測、跡確認を行う
<画像引用元>
コメント
コメント一覧 (2件)
切断前緊張について、1点教えていただけないでしょうか。手順6で新レールを先に入れてますが、手順8の付加緊張(補助緊張)を加えてから入れるのでは何か違うのでしょうか?同じような気がするのですが、何か理由があれば教えてください。
ご質問ありがとうございます。
現実問題の大前提として、
■同じ機種でも使用している緊張器によって油圧の入り方が異なる
■現場が厳密な設定温度ではない(管理面およびふく進も含め)
上記を踏まえて、
①理論的には、作業時の温度で圧力が決まるので、加わっていたであろう軸力と圧力を同じにする必要があります
※極端に言えば、引っ張りすぎも良くない
②ただ、切断後に
・実際は若干ではあるが開口した
・夜間作業のため、2時30分ぐらいにかけて冷えてくる
・それらを確認、考慮し、もう少し圧力を高めておこうか…となります
③そのため、そういうやり方をとっている業者もいるという手順例になります
ただ、圧力量の誤差も上記②の話も微々たる話なので、質問者さまの言うように、初めから付加緊張を与えても大勢に影響はありませんし、設定替記録票に書く仕上りも、ほぼ変わらないレベルの結果になると思います。したがって、現実問題、元々の管理面・環境面・機械誤差・作業誤差などの複合的な要因が重なった結果、調整しながら作業しているので、そこに関してそんなに深い意味はありません。