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保線作業について学ぶ(4.ロングレール交換編)

若手技術者の中には、特に保線作業が外注化され直接作業に触れたくても触れる機会が少なく、どのように作業が行われているか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、保線作業の中でも規模が大きく、複数の専門工法が存在する「ロングレール交換」の基本的な流れを解説します。

目次

作業の前提条件

ロングレール交換に入る前に、以下が完了していることが必要です。

  • 新レールの取卸し(現地搬入・仮置き)が済んでいること
  • 事前軌道検測(軌間・水準・通り等)が完了していること
  • 溶接業者との工程調整・溶接箇所の確認が済んでいること

主な工法の種類

ロングレール交換には、軌道の状態・設定温度・線形条件によって複数の工法があります。

① 切断後緊張法同時緩解式(最も一般的)

新旧レールを溶接でつなぎながら、緊張器で軸力を調整し、旧レールの締結装置を順次緩解していく工法です。25m〜50m以上の大規模な交換で最も多く採用されます。

② 切断前緊張法(囲み)

切断前に緊張器で先行して引張力をかける方法です。比較的短いスパンや特定の条件下で用いられます。

③ 加熱法(ペースト)

レール底部に鉄道用ペーストを塗布して着火し、熱膨張を利用して軸力を調整する工法です。可動区間(EJ付近)など特定の場所で採用されます。

「切断後緊張法同時緩解式」の作業手順

ここでは最も標準的な工法である「切断後緊張法同時緩解式」の流れを解説します。

STEP1:器具の搬入・セッティング

軽便トロ(軌道用トロッコ)を3台に分け、起点・中央・終点にそれぞれ必要な器具を積み込みます。

  • 起点・終点:発電機、ボルト緊断機、分路器、キャップタイヤコード、PC油缶、照明、吊上げ器、バール、パッド切り、三点棒、山越器、巻上げ器、半コロ、ウマ、ショベル、サラエ
  • 中央:緊張器一式×2組(起点・終点に配布)
  • 別途:コロ、ガイドローラー(曲線部のみ)、水準器、水糸、仮ボンド、グラインダー、タイタンバー、ランマー、点検ハンマー

STEP2:緊張器の組み立て

起点・終点の緊張器を外側のみ組み立て、シリンダーを接続します。油圧でいっぱいまで伸ばし(レバーをON方向へ)、ロッドをピンで接続したら、対側の位置が締結装置に支障しないか確認します。

⚠️ 緊張器の羽(ギザギザ面)は、必ず外側(後にレールの腹に当たる面)が外向きになるよう取り付けること。

STEP3:レール長の測定・切断位置の決定

事前に新レール・旧レールの長さをスチールテープで測定します。新レールを全て使うか、当て切りで一部を落とすかを判断し、落とす位置が決まれば溶接業者に伝えます。

STEP4:仮ボンドの取り付けと新パッドの敷設

踏切鳴動停止がない場合、グラインダーでレール底部を研磨し、仮ボンドを取り付けます。並行して新パッドを敷き始めます。新パッドは事前にまくらぎ長手方向の両側に白スプレー(防護は黄色)を塗布し、まくらぎの中央に正確に配置します。

⚠️ 新レールが反対側にあり、旧×旧で仮ボンドを付ける場合、旧レールを撤去する際にボンドが曲がらないよう手で引っ張りながら行うこと。

STEP5:山越器によるレール交換

山越器をセットし、旧レールを軌間外へ出しながら新パッドを敷き、新レールを据え付けます。縦移動で位置を調整しつつ、新レールの締結装置をボルト緊断機で順次緊締していきます。

当て切りの場合は、反対側のレールを断面どうしで当て、被っている方で当て切りを行います。緊締するのは、設定替延長を除いたレール中央部のみとします。

STEP6:設定替の実施

溶接の位置が決まれば、両端で設定替を行います。緊張器を5tにセットし、L2の位置までボルト緊断機で締結装置を緩めていきます。その後、10t→L3→15t…と指定の圧力を順次かけていきます。バンドロールでも同様にバンプルーラーで緩解します。

STEP7:締結・バラスト整理

両端の溶接が完了したら、設定替範囲の締結装置をボルト緊断機等で外側から順次緊締していきます。水準器で軌間を確認しながら、仕上げ基準値を超えている箇所はくさびやブロックで調節して締め直します。

50m以上の場合は、ウマで半コロがあった方のバラスト肩をかき上げ、サラエでまくらぎ端をクレンし、ランマーで締め固めます。

STEP8:溶接・仕上げ・事後検測

溶接業者が溶接部を水で冷やし、探傷・塗色を行います。溶接周りの締結装置を緊締し、溶接箇所のバラストをタイタンバーでつき固め、必要あればランマーで締め固めます。最後に軌道検測(軌間・水準・通り)と跡確認を行い、作業完了です。

作業の主なポイント・注意事項

  • 緊張器の管理:シリンダーを格納する際は緊張力がゼロになったことを確認してからホースのカプラーを抜く
  • 限界確認:レールを卸した後は必ず限界測定器で限界確認を行う
  • バラスト確認:レールを吊り上げる際、バラストが乗っていないか確認すること(油付着にも注意)
  • 水準管理:水準器で軌間を常に確認しながら締結していく
  • 溶接業者との連携:切断位置・設定替延長・溶接箇所は事前に溶接業者と共有しておくこと

まとめ

ロングレール交換は、軸力管理・溶接・締結・軌道整備が複合した大規模作業です。特に「切断後緊張法同時緩解式」は最もポピュラーな工法ですが、現場の条件(温度・線形・踏切の有無)によって工法の選択が変わります。若手技術者はまずこの標準工法の流れをしっかり押さえておきましょう。

次の記事では「5.レール加工編」について解説します。

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