保線業務には機械・器具以外においても専門用語や方言のような用語が多く難しいですよね。特に若手技術者の皆様にとっては、勉強する機会も減ってきたり、「今さら聞けない…」とか「実はよく分かっていない…」という用語もあるかもしれません。
このページでは、たまに目にする耳にするという程度以上の頻度の用語データベースとしておきます。ぜひ、たまにチェックしてください。
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目次
あ行
- 合いマーク:ボルトナットに緩みが生じていないか確認するために、緊締した際に、ダブルナット同士やナットとワッシャ同士をホワイトマーカー等で直線の印を書き入れ、ズレを確認するためのもの。Ⅰマークとも表記する場合がある。
- 明かり区間:トンネルや高架区間などの構造物で覆われていない外気温に晒される区間。
- 空き無遊間:レール切断の不良や継目部フロー等により遊間が空いている部分と詰まっている部分がある状態の遊間のこと。
- 上げ越し:継目落ちを整正する際に、再度落ち込むことを考慮し、故意に高く仕上げること。
- 味見:レール交換など、作業の本番前に締結装置が固着していないか確認するために一度緩めること。
- アタック角:車輪の進行方向に対するレールの角度のこと。
- アップリフト:軌きょうが持ち上がる現象。道床バラストの減少やレールの熱膨張、軌道狂い等によって道床抵抗力が低下している箇所において、列車走行によって軌道が沈下する際、その列車の台車間のレールがたわみ持ち上がる。道床抵抗力の低下が影響するので、通り狂いとの相関性があると言われている。
- イソ:分岐器の品名表記で、ISOを表す。
- 囲炉裏:半コロ等で受台を設置する際に、井形状に何段も積み重ねたもの。
- インサイジング:木まくらぎの表面に多数の刺傷を施し、防腐剤を浸透しやすくしたもの。
- 引照点:主にロングレール設定替の際に、設定替による移動量を確認するために、レールと締結装置やPCまくらぎ等に引く合いマークの線。概ね50mごとの間隔で引く。ロングレール検査のポンチマークのこともいう。
- ウィットねじ:J・ウィットワースという人が考案した三角ねじ山形のねじで、ねじ山の角度は55度、ねじの呼び径およびピッチはインチで表わされる。
- 浮きまくらぎ:軌道(道床バラスト)が沈下し、まくらぎがレールにぶら下がった状態になること。道床のバタつきをみて言う場合もある。
- 円度杭:曲線区間において、曲線整正を行うための外軌レールとの離れを測定するために一定間隔(5m程度ごと)に建植する基準杭。現在では高速軌道検測車とMTT等による動的整備が主流なため不要とされ撤去されている場合もある。
- エンドクロッシング:ダイヤモンドクロッシングの両端のクロッシングのこと。
- 横圧:軌道面に平行でレール直角方向に作用する力。
- 横裂:レール長手方向に対し、直角に発生するき裂のこと。
- 大弛み:中弛みと近い言葉で、継目落ち等、点で落ち込んでいる状態ではなく、特にロングレール区間等で長いスパンで大きく弛んでいる状態。
- 拝み床板:Nレール形分岐器に使用している通し床板のこと。合掌しているような形から。
- おんた:電源コンセントの挿入側。
- オーバーカント:最大カント(もしくは設定カント)を超過している状態。過大カントともいう。
- O.M値:オーバーモーメント値。σ値のバラつき度合を表す。
か行
- 開先:レールを溶融溶接法(エンクローズアーク溶接やテルミット溶接)で溶接する際、事前に空けておく隙間のこと。
- 過大遊間:ボルトの曲がり等の発生が懸念される遊間量のこと。
- ガッケ:橋まくらぎの溝を橋桁に乗せたときの、桁フランジの厚さ分を抱き込むように残しておく高さのこと。左右の桁フランジより外側を外ガッケ、内側を内ガッケという。
- カッチン:切取区間のこと(切取=cuttingから)。
- 角張り:特に急曲線の定尺区間において、レール曲げが不足している場合などに、継目部のレール端部が滑らかな曲線を描かず、突っ張った形となり列車の左右動や軌間狂いの原因となる。角折れや継目折れとも言う。
- かまぼこ型踏切:踏切道の道路縦断勾配が10m弦で150㎜以上の縦距がある形状の踏切。大型トレーラーのボディが接触するおそれのある注意喚起が必要となる。
- カラス:信号機などの発光物が消灯している状態。
- 緩衝レール:ロングレールの伸縮を吸収するために、ロングレール端に計算された遊間を設定した数本の定尺レールのこと。トンネル内などの温度変化が少ない区間で使用されるのが一般的であるが、急遽の場合など、明かり区間でも使用する場合もある。
- 完全トンネル区間:トンネル内の未完全トンネル区間を除いた部分。
- 軌間線寸法:分岐器の組立てや整正する際に、直基本レール軌間線を基準線としたときの各レール軌間線までの直角距離で、それぞれ各まくらぎの中心位置で測定する。
- きしみ割れ:ゲージコーナーのレール長手方向に連続して発生するレール断面方向に伸びる細かなき裂。
- クラッシャーラン:岩石や玉石をクラッシャーで砕いただけの粒度がバラバラのもの。これがリサイクル製品になると、再生クラッシャーランになる。
- クリアランス:主に車両接触限界のことをいい、ガードレールの隙間の限界などにも使用する。
- クリープ(抵抗力):Creepとは「這う、滑る、ズレる」等の意味があり、クリープ係数やクリープ力という用語に用いられる。クリープ抵抗力とは、レールの「ふく進抵抗力」をいうが、「締結装置のふく進抵抗力」と「道床縦抵抗力」では前者の方が大きい場合が一般的であるため、小さい方の「道床縦抵抗力」に支配されることになる。ちなみに、「アンチクリーパ(anticreeper)」は、その字の如く「滑らせないもの」という意味があります。
- 化粧バラス:既設の道床バラストの上に新しいバラストを散布し、見栄えをよくすること。単に補充する意図なら良いが、悪い道床状態の上に散布し、見た目を誤魔化す意味合いの言葉として使われる場合がある。
- 下水きょ:径間が1m未満の橋梁のこと。下水渠。地中に埋設しているものを「暗渠」、溝形状になっているものを「開渠」または「明渠」と呼んでいる。また、径間が1m以上は橋梁に分類されているが、5m未満の橋梁を「溝渠(カルバート)」と呼んでいた。
- ケレン:さまざまな業種で使用される用語で、保線ではバラスト整理する場合や機械検修におけるサビ取り等でいわれる。その名の由来として英語の「clean」からきていることから各業種で共通しているのが「綺麗にする」という意味がある。
- 限界脱線係数:脱線係数においてナダルの式で決まる限度値のこと。
- 減価償却:設備投資など固定資産を取得した後、それぞれモノの種類によって法定耐用年数が定められており、その価値は年々下がっていき、やがてその年数が経てば価値がゼロになると解釈されるが、その間毎年度、現金を支払っているわけではないが、「減価償却費」として費用に計上することができる。
- ゲージコーナーき裂:きしみ割れからレール頭部に向かうき裂のこと。
- 公差:レール、継目板、継目ボルトの製作上の許容誤差をいう。
- 交差法:曲線整正を検討する際に、10m弦通り正矢の値を基に通り整正を考んだとき、ある点の移動量に対して、その前後5m位置が移動量の1/2だけ逆方向に戻ろうとする考え方。
- 工臨:工事用臨時列車の略。レールやバラストをチキ車やホキ車で運搬する臨時列車のこと。
- 黒裂:シェリング傷のこと。
- 固定軸距:隣り合う輪軸どうしの中心間距離のこと。3軸車は1~3軸間の距離。
- 小判:半コロなどの受台を面積が小さい方の面を下にし、高さを高くする置き方。
- 護輪:ガードレールのこと。
- 転び止め:分岐器トングレールの止め金具のこと。
さ行
- 座屈:レールの長手方向に対して軸方向に圧縮力が加わり、限界を超えると急激な曲がりが生じる現象。
- 座ぐり加工:橋まくらぎのリベット部の大きさに合わせて少し余裕を持たせてくり抜き加工すること。
- 下げ路:軌道低下のこと。道床バラストをかき出して、レール面を下げて整備する方法。軌道こう上の反対。
- サンドル:囲炉裏とは若干異なり、レールの受台でバラスト肩が高めである場合に、レール長手方向に置いた半コロの上にレール直角方向に置く形の受台のこと。サンドルを組むという。
- シェリング傷:車輪からの繰返し転動荷重を受けて生じる疲労損傷。レール頭頂面に貝殻模様が発現することから。
- 死区間:左右レールが短絡しても感知しない区間のこと。踏切における感電防止などで絶縁している場合や分岐器において左右レールの絶縁位置が異なることによる同極性になる範囲をいう。①死区間長は6,020㎜以下とすること、②死区間どうしまたは死区間と他の軌道回路間の距離については、死区間長が1,210㎜以下なら考慮する必要はないが、1,210㎜を超える場合は13,000㎜以上とする、などと定めている。
- σ値:軌道変位(狂い)量の標準偏差。軌道狂い量のバラつきを表す。
- 仕事師:作業員のこと(特に技術力がある作業員を指していう場合もある)。
- 車輪内面間距離:タイヤ内面間距離とも表し、左右の車輪フランジ内側どうしの間隔をいう。988~994㎜で設計されている。
- 縦裂:レール垂直方向に発生するき裂。
- 出水期:一般的に6/1~10/31とされている。橋梁に安全設備など仮設物を設置する際に河川占用許可が必要となるが、この出水期は避けなければならない。
- 定規:継目のこと。
- ショート:ダイヤ乱れや機械故障等により、当夜または直前の工事の施工計画数量が縮小すること。
- 芯:ど真ん中。既設レールをメジャーで測定するときなど、遊間に当てる位置における中心のこと。溶接部や接着絶縁レールの絶縁層を芯で測定する場合が多い。
- 芯出し:溶接しようとするレール同士の高さや通りを溶接できるように揃えること。
- 推定限界脱線係数:車両が浮き上がり始める時の脱線係数。
- 推定脱線係数:車両に発生していると考えられる脱線係数。
- 推定脱線係数比:推定限界脱線係数/推定脱線係数で求められ、これが1.2を下回ると出口側緩和曲線に脱線防止ガードを取り付けることとされている。
- 水平裂:レール長手方向に発生するき裂。
- スケルトン:配線計画上重要な数値のみを図示した分岐器の延長や角度、後端の離れが記載されているもの。
- スパーク痕:主に接着絶縁レールのレール端頭頂面に発生する損傷。放電現象によりレール頭頂面に微細な掻傷が発生し、いずれ探傷車でも検知するようになる。
- 素掘り:側溝などを設ける場合に、管路を使用せず掘削した状態のまま使用すること。
- スポーリング(フレーキング):きしみ割れ区間に発生する小さな剥離が点在しているレール傷。放置していると徐々に剥離の大きさが進行していく。
- スラック未整備:1987年にスラックを一律5㎜縮小する方針にした後も、整備する機会がなく、その縮小がなされていないこと。
- スリッパ:受台(サンドル)に使用するまくらぎや木材のこと。半スリとは、スリッパの半分から。
- 正矢:曲線における弧の中央から弦に直角に下した線(矢)の長さのこと。
- 接着:トングレールの密着以外の部分をいい、JISによると「圧力なしでトングレールが、基本レールと所定の部分で一様に接している状態をいう」とある。
- 線路有効長:車両接触限界標相互間の長さ、または、出発信号機の設けてある線路では出発信号機までの長さをいう。
- 槽状桁:比較的短いけたに使用され、けた下端とレール面との高さを縮小するために、レールを主げた内に若干落ち込ませる構造の橋げた。
- 速発:速度発電機の略。列車動揺を営業列車で自動測定する際に接続する発電機のこと。
た行
- タイバーボルト:転てつ(轍)棒ボルトのこと。
- たこづき:道床を蛸(たこ:丸太に取手を3~4本取り付けたもの)で叩いてつき固めること。
- 立ちんぼ:作業員が現場で立ち尽くしている様。
- 脱線係数:Qは横圧、Pは輪重として、その比をQ/Pで表し、その式を「Nadal(ナダル)の式」と呼ばれる。
- 縦送り:レールやまくらぎ等の軌道材料を軌道上でレール長手方向に運搬すること。
- ダブル側:線間のこと。
- ダブル区間:線路切換や複線化などの大規模な改良工事がなされた場合に、当初定めていた線路キロ程より実軌道延長が長くなってしまうため、工事で長くなった延長分のキロ程を二重管理する区間のこと。重程や重鎮(ダブルチェーン)、重米(ダブルメートル)とも言われ、「D区間」で表す。※事業者によっては「W区間」
- だるま:ポイントリバー(おもり付)のこと。
- 端欠け:継目部のレール端部頭頂部が衝撃荷重を受け剥離・欠損した状態のこと。
- 団子:分岐器ヒール部の押え金具のこと。また、レール緊張器のクランプ台を指す場合もある。
- 単重:軌道材料の単位当たりの重量のこと。
- 探傷Aスコープ・Bスコープ:それぞれAスコープは超音波の受信波形、Bスコープはレール断面を画像で表す。
- タンデム探触子:タンデムとは英語で縦に二列並んでいる様のことで、その探触子は超音波の送信側と受信側が異なり、レール底部付近の主に溶接の垂直傷を検知しやすい設計にしているもの。
- 端部バッター:レール端部頭頂部が衝撃荷重を受け塑性変形した形状のこと。
- 短絡:軌道短絡のことで、左右レールが列車以外で瞬間的に導通することをいう。ショート。絶縁継目部においてレール長手方向に導通することを矯絡といい、無道床橋梁においてレールから橋桁を通じて短絡することを地絡という。
- 千鳥:交互に行うもの。ロングレール取卸の終端に置く緩衝材としてのタイヤの置き方。
- チャンチキ:二つあるものを入れ替えること。
- 長寸:主に犬くぎのタイプレート用(145㎜)の方を指す。同じ製品のうち長い方を指して呼ぶ。
- 丁張り:基準となる高さなどを押さえるための基準杭を建てる作業。
- チョック:急曲線区間や分岐器の曲線側リードレールにおいてタイプレートを使用していない区間に軌間拡大や小返りを防止するために取り付ける木片のこと。
- チョックボルト:分岐器締結の立てボルトのこと。
- チョンコ(付け):レール腹部などに、まくらぎ敷設位置の中央部や軌道検測位置などの目印のラインのこと。また、それを書くこと。
- 突合せ:分岐器の前端と前端が接合している状態のこと。
- 突付け(しり付け):分岐器の後端と前端が接合している状態のこと。
- 継目落ち:車輪の衝撃荷重の繰返しにより、継目部が落ち込むこと。
- 轍叉(てっさ):クロッシングのこと。
- 手待ち:作業の工程において、材料や作業の段取りの都合で予定どおり進まず、作業が中断される状態のこと。
- 天狗面:大正14年形分岐器に使用されるレールブレスのこと。ファングボルトで締結される。
- 電食:主に直流電化区間で、特にレールの底部端(底側部)と締結装置などとの接触部分あるいは底面とバラストが当たる部分に発生する劣化。
- 胴隙:
- 土方カーブ:測量を実施せずに、テープだけで現場に設けた曲線のこと。
- 土羽打ち:道床を土羽板でたたいて締め固めること。
- 土場:地面の上(地べた)。本来は木材等の集積場のことであるが、敷設された線路と区分して線路外の地面の上に直接モノを仮置きする場合等に言う。
- とりこ:自動車などが踏切内に立ち往生すること。
- 取付け:軌道狂いを整正する際に、レール面の高さや通りを滑らかに合わせていくこと。土木用語では舗装面を合わせていくことを摺付けという。
- ドレン:伏び(伏樋)のこと。
- とんぼ:トロリーをオフレールし、反転させておくこと。保守用車でトロリーをけん引する際、前後両側にけん引することもトンボという。
な行
- 中定規:リードレール中央の継目のこと。
- 中弛み:大弛みと近い言葉でレール1本単位で中央付近が弛んでいる状態のこと。
- ナンバー狂い:左右レールの継目の食違いのこと。継目番号(ナンバー)から。
- 二段刈り:除草(刈取り)作業において、高さのある草を刈る際に刈った草自身が邪魔にならないように中段で一度刈り、ある程度短くした後、再度下部で刈り取る方法。
- 入射角:分岐器の直線ポイントにおけるトングレールと基本レールとが成す角度のこと。必然的にそれが車輪フランジのアタック角となる。
- 根枷(ねかせ):地中に埋めて設置する支柱などに取り付ける支持材。基礎ブロックを使用しない場合に根かせ自体を地中に埋めて安定させる。
- ネコ:チョックのこと。ねこ車のことを略してそう呼ぶ場合もある。
- ねずみとり:安全側線緊急防護措置「タピット」のこと。
- ねた木:敷設しているまくらぎとまくらぎの間のバラストに挿入する半コロ等の木材のこと。
- 熱影響:レール溶接した際の加熱の影響を受け、硬度が低下すること。その幅を熱影響範囲や熱影響部と呼ぶ。FBWは30~45㎜、GPWは100㎜程度、GSWは最大110㎜程度(溶接金属含む)、EAWは120㎜程度(溶接金属含む)である。
- 熱処理レール:クエンチテンパー(QT)方式やスラッククエンチ(SQ)方式で熱処理し、耐摩耗性等を向上させたレールのこと。端頭部熱処理(EH)レール、頭部熱処理(HH)レール、改良頭部熱処理(NHH)レール、頭部全断面熱処理(DHH)レールがある。
は行
- 拝見:レール頭部まで目線を下げ、曲線区間は内軌側、こう配区間は低い方から高い方へ見通し、斑(むら)がある位置を確認すること。見透し作業ともいう。
- 背面横圧:列車の高速走行により分岐器のガードレールやクロッシングのウィングへ車輪フランジ背面が横方向に接触する強い圧力のこと。
- 排水勾配:道床や路床へ流入する水を線路外へ排水するための線路横方向の勾配。
- ばかづき:ジャッキ等でレール面を合わせない状態でつき固めを行うこと。
- はさみ木:積雪によるレールのかさ上げ(凍上作業)用として、レール下に挿入する木材のこと。縦はさみ木と横はさみ木があり、厚さや枚数に限度が設定されている。
- パス(数):レール削正時の回数を表す。ひと削り(片道)で1パスという。
- 破端:レール長手方向端部の継目板に覆われている範囲で発生する継目穴周辺、上首部、腹部からの損傷のこと。
- 破底:レール底部の部分欠損で、ハンマーによる衝撃など人為的によるもの。
- 羽:レール緊張器のレールクランプを指して言う場合がある。
- はめ合い:車輪と車軸、ベアリングと軸受が組み合わさること。嵌め合い。また、その部分を『はめ合い部』や『はめ合い面』という。はめ合いには、「すきまばめ」「しまりばめ」「中間ばめ」という寸法差の度合があり、機械検修における鉄製トロ等の解体・組立検査時に確認が必要になる。
- 半目切り:継目部を切断しレールを再利用する際、継目ボルト穴の中央で切断し、ボルト穴が半円残っている状態の切断方法。現在は、穴割れの一因や仕上りから避けるのが一般的である。
- 引け巣:金属が凝固・収縮する際に発生してしまう空洞のこと。鋳造であるマンガンクロッシングで発生しやすい。
- 日溜まり区間:構造物等で日差しが遮られることなく、日中日差しが当たっている箇所。
- ピッチング:車両の車体振動の一種で、車両の前後に傾く方向の回転振動をいう。
- 一目切り:継目部を切断しレールを再利用する際、継目ボルト穴とボルト穴の間で切断する方法。現在は、無駄にボルト穴を残さない観点から避けるのが一般的である。
- P値:10m弦での軌道変位(狂い)における変位量が±3㎜以上となる、ある区間のサンプル数。100mロットで表示したり、線区・線別単位、保守エリア単位等で表す場合が多い。
- フィールドコーナー:ゲージコーナーの反対側。
- 復元原波形:軌道検測した値から実際の軌道の形状の近似値を波形で表したもの。検測値をデジタルフィルタによってフーリエ変換し周波数の関数としたその振幅を逆数倍したものを逆フーリエ変換し得る。
- ふく進抵抗力:ロングレールがレール長手方向に水平移動しようとするときにレールと締結装置との間に生じる最大抵抗力のこと。クリープ抵抗力ともいう。
- 踏み傷:レール頭頂面に乗った砂利や砕石の欠片等を列車が踏み、レール頭頂面の一部に凹みが生じたもの。
- フラット傷:車輪とレールとの粘着係数が低下することによる車輪の滑走や空転が発生しやすくなり、車輪踏面の一部が扁平になる「車輪フラット」が生じる。その車輪フラットによりレールに衝撃が加えられ凹凸が連続して発生するもの。※車輪フラット長の許容値は75㎜まで
- ブレーキ区間:線路切換や配線変更などの大規模な改良工事がなされた場合に、当初定めていた線路キロ程より実軌道延長が短くなってしまうため、新線の終端のキロ程が工事で短くなった延長分を受け持っていると解釈すること。断程や断鎮(ブレーキチェーン)、断米(ブレーキメートル)とも言われる。点であり区間は存在しないが「B区間」で表す。
- 分岐器付帯曲線:分岐器の分岐側に付帯している直線は構造上分岐器の曲率の影響を受けてしまい、公称諸元とは異なる曲線が残存している部分のこと。その延長は実際に車両がその影響を受けてしまうため、最大車両長である20mと考える場合もある。それより後方にある曲線を分岐器後方曲線という。
- へ形レール:
- へげ傷:クロッシングノーズ部の座滅・座潰傷のこと。
- へし・ペーシ:継目板のこと。
- 偏心矢:正矢と異なり、弦の中央ではない位置の矢のこと。MTTや高速軌道検測車の弦(ワイヤー)では偏心矢となっている。
- 弁当箱:車両接触限界標のこと。
- ポイントの定位・反位:次の場合を定位とする。「本線と本線とを分岐する転てつ器は、主要な本線の方向。ただし、単線区間で上下線を分岐する転てつ器は、列車の進入する方向」「本線と側線とを分岐する転てつ器は、列車の進入する方向」「本線又は側線と安全側線とを分岐する転てつ器は、安全側線の方向」「側線と側線とを分岐する転てつ器は、主要な側線の方向」「脱線転てつ器は、脱線させる方向」。
- 掘り方:道床バラストをかき出す作業のこと。
ま行
- 間送り:まくらぎを締結装置により仮止めした状態で縦送り(移動)させること。
- 間配り:施工前に締結装置や軌道パッド、小型の器具等を所定の位置に配付すること。
- 増打ち:犬くぎを所定の打つ位置に加えて打つこと。稀に、タイプレートのまくらぎ固定側を指して増打ち側と言う場合がある。
- 増締め:ボルトを緊締する際、隣接のボルトとのバランスや締結力の弱いスパナ等で緊締した後に、しっかりと締め直すこと。
- まばたき区間:トンネル区間と明かり区間が交互に連続する区間。
- マンホール:トンネル内の待避孔のこと。
- 未完全トンネル区間:トンネル坑口から100m未満の区間。明かり区間とみなす。
- 水:レールの水準のこと。
- 水負け:設定カントに対し、実カントが小さいこと。
- 溝加工:橋まくらぎのリベットに対して、レール長手方向に真直ぐ加工すること。座ぐり加工よりも位置の微調整が可能となる。溝加工したものをゲタという。
- 密着:トングレール先端から500㎜の範囲をいい、JISによると「接着状態にあるトングレールが、基本レールに圧力をもって接している状態をいう」とある。
- みなし認可:新しい法令による基準に抵触する場合、経過措置として改良工事等を行い、新しい法令に適合するまでは法令違反とならず、国土交通省から許可を受けているとみなされている状態をいう。
- むくり:そり(たわみ)の反対で上方に湾曲していること。異形継目板(継目落用)の俗称。キャンバーや中高とも言う。
- 目方:実際に測定した重量のこと。
- めくら:無遊間のこと。レール長を測定する際、遊間量を含んで測定する場合に“めくらで測定”と言う。差別用語のため、使用しない方が良い。
- メジャーリング:MTT検測弦で測定した値をALC(ALS)を用いて絶対基準整備すること。
- 面取り:レール端面や継目ボルト穴における「かえり・ばり・まくれ」を除去し、フローが発生しないようにレール周囲の角を1.5㎜~2㎜削ること。
- めんた:電源コンセントの受け側。
- メートルねじ:ISO一般用ねじの基準山形と合わせたメートル法で作成された現在では標準のねじ。
- 揉む:まくらぎ穿孔機で穿孔すること。
や行
- 矢:くさび状になっているもの(PC締結の受台や分岐器の調整式座金など)。
- やぐら:鉄製トロのチェーンブロックを取り付けるための竿。
- 横取り:分岐器やEJなどの組物、保守用車等をレール直角方向に移動させること。
- 寄せ路:通り直しのこと。
- ヨーイング:車両の車体振動の一種で、車両の前後が左右に振られる方向の回転振動をいう。
ら行
- 螺締ボルト:ねじくぎのこと。螺釘(らくぎ)ともいう。
- 粒調砕石:粒度調整砕石の略。岩石や玉石をクラッシャーで砕き粒度を均一に揃えたもの。上層路盤に使用する。これがリサイクル製品になると、再生粒調砕石になる。
- 理論交点:クロッシングの交差する軌間線の交点のこと。実際は、ノーズレール先端は丸みを帯びているため、あくまで理論上の交点を指し、その丸みの先端を実際交点という。
- 輪重:車輪からレールに対して軌道面に垂直な方向に作用する力。
- 列車の去り側・進来(受け)側:列車進行方向からみて手前が去り側、奥側が進来側や受け側と呼んでいる。
- レール小返り:特に急曲線部の車両の輪重と横圧によって外軌レールが軌間外側へ傾くこと。それにより、犬くぎの抜け上がりが発生するため、チョックで押さえるなどの対策を行っている。
- レール中間部:継目部と継目部の間のレール部分。
- R.L:レール・レベルの略で、レール頭頂面高さを基準にする際にいう。ちなみに、G.L.はグランド・レベルの略。
- ロングレール縦荷重:橋上ロングレールにおいて、自由伸縮の桁と不動区間のレールがある場合、締結力等による抵抗力を「ふく進抵抗力(γ)」と呼び、レール1本当り0.5tf/mとされ、左右レール当り1.0tf/Mとされている。その際に、LR=γ・L(LR:縦荷重、L:橋梁全長)だけ桁にかかる摩擦力のこと。
- ローリング:車両の車体振動の一種で、車両の左右に傾く方向の回転振動をいう。
- ロールマーク:レール腹部にあるレール種別や製造年の刻印のこと。レールの製造過程の仕上げ圧延において、ロールという部材の仕上げロール面が回転することによりロールマークの刻印が浮き出るようになっている。
わ行
- 割りピン:分岐器内の転てつ棒などに緩み止めとして使用するコッターピンのこと。
<参考文献>
- 分岐器の構造と保守―増補改訂版― 佐藤泰生 編
- 保線問答集(上巻) 鉄道現業社 編
- 保線問答集(下巻) 鉄道現業社 編
- 新軌道力学 佐藤吉彦 著
- 新版 軌道材料 新版軌道材料編集委員会 編
- 保線工学<上> 保線工学編集委員会 編
- 保線工学<下> 保線工学編集委員会 編
- 図解 土木施工用語集 四訂版 稲橋俊一 福地喜明 村上生而 著
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