保線発注で土木工事を施工する場合のあれこれ

保線作業

 皆さんの中には、保線側で発注して小規模な土木工事を設計・施工する場合はありませんか?アスファルトやコンクリートの舗装、路盤(路床)工、横断管の埋設、フェンスや門扉、基礎ブロックの設置など、少し不得意な方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、設計・施工する際のノウハウや土木材料の説明として以下にまとめておきますので、必要な方は参考にしてください。


①アスファルト舗装(一般に加熱アスファルト混合物を使用する)

(材料編)

 アスファルト自体の材料の説明は割愛しますが、骨材の粒径が最大20㎜と13㎜で使用区分が分けられています。一般的に踏切舗装では、「密粒度アスファルト混合物」を使用します。ひび割れを斫って補修したり段差を解消するオーバーレイでは、目の細かい「細粒度アスファルト混合物(13)※通称トペカ」を使用する場合もあります。

 ※Fはフィラー付きという意味で寒冷地で使用される。

(施工編)

  1. 合材屋のプラントからアスファルトを運搬(←到着時165±5℃)
  2. 角スコを使用しダンプからの取卸し
  3. レイキを使用し敷き均し(←155±5℃)
  4. コンパクターを使用し転圧(←初期140±5℃)
  5. 熱したコテでスロープ側を形成
  6. 上記3項以降と同時並行に柄杓を使用し細かく散水
  7. 1層の厚さが30~50㎜となるよう上記2項以降を繰り返す
  8. 仕上げ(←120±5℃)
  9. 交通開放(←50℃以下)

 道路では表層を50㎜で仕上げるのが一般的ですが、踏切舗装では仮張りが50㎜、本張りが150㎜で仕上げます。また、転圧も道路部ではロードローラやタイヤローラなどの大型機械を使用しますが、踏切ではコンパクターなどの小型機械で仕上げます。仮張りでは下にバラストを敷き均し高さを調整します。ただし、仮張りでは50㎜は確実に確保してください。それ以上薄くなると、後日の自動車の横断等により剥離するおそれがあります。※散水補給用に使用するポリタンクは絶対に軽油用などと混同しないよう注意してください。少しでも水に軽油が含まれるとアスファルトが締固まらず施工が完了しません。


②路面補修材(一般に常温アスファルト混合物をいう)

(材料編)

  • レミファルト:㈱NIPPO社製で、レミファルト以外にレミファルトS、S5、STがある。
  • YKアスコン:光工業㈱社製で、密粒(Φ13㎜)と細粒(Φ7㎜)がある。耐久性は1年程度。
  • PRアスコン:YKアスコンより長期耐久性があるが、加熱等の工程が必要。
  • YKパック:ポットホール等を最短で補修する際に使用する。
  • スーパーロメンパッチ(旧ロメンパッチ):ニチレキ㈱社製で、粗粒と細粒があり、乳剤を混合する。
  • マイルドパッチ:前田道路㈱社製で、水をかけて施工する特徴がある。
  • ミラクルパッチ:トーヨーマテラン㈱社製
  • クイックファルト:エコシーズ社製で、施工法はロメンパッチとほぼ同様。
  • エース・パッチ:美松工業㈱社製で、密粒と細粒がある。
  • アスファルトピッチ:ユニテック社製
  • エムコール:シンレキ工業㈱社製で、密粒(Φ13㎜)と細粒(Φ5㎜・3㎜)がある。
  • TRミックス:大成ロテック㈱社製で、他にTRミックスアクアという高耐久型がある。

③舗装ブロック(コンクリート製)

(材料編)

 日本軌道工業㈱製で連接軌道と同様に連接舗装ブロックとして、鋼棒に緊張力を与えてコンクリートブロックを一体化した舗装。標準が340㎜厚であり、薄型が250㎜厚となっている。

(施工編)

 連接軌道踏切と同様に、バラストが無い構造となっており、かつ連結されていることから排水性が悪くなりやすい環境下の敷設となるため、敷設前の下地を均す際にセメント等を混合させ安定処理を施す。

 アスファルト道路との境界部には目地材(緩衝材)としてエラスタイトを挿入する。舗装ブロックの積卸しにおいては、重いもので約2.4t/枚あるため、16tラフタークレーン等が必要となる。


④横断管・ハンドホール

 横断管を埋設する際、道路横断か線路横断かに分別されますが、道路横断(線路平行)での埋設時に知っておきたいポイントとして設計自動車荷重というものがあります。道路示方書にB活荷重とA活荷重という表記があり、それぞれ強度が異なります。

  • B活荷重…T-25相当(大型車両の走行頻度が高い道路に適用)
  • A活荷重…T-20相当(大型車両の走行頻度が低い道路に適用)

 一方、線路横断(道路平行)では、各鉄道事業者の社内規程で定めているのでそちらを参照してください。下記は全てT-25対応の管路です。

(材料編)

 【横断管】

  • ヒューム管:1910年以降に製造された「遠心力鉄筋コンクリート管」で、外圧管と内圧管に分別され、その中で強度の違いで1種、2種、3種に分けられる。保線屋が扱うのは電線を通すための施工が主なので、外圧管となる。内径は色々あるが、長さは2mが一般的。
  • 重圧管:上下が平らで安定しており、コンクリートの360°巻き(巻き立て・抱きコン)が不要で、ヒューム管に比べ強度が高い。最近の設計では重圧管が主流になっている。内径は色々あるが、長さは2mが一般的。
  • 樹脂製トラフ『(半割れ)孔一くん』:古河電気工業㈱社製の樹脂製トラフ。上下で分割しているため、既設ケーブルにも使用できる。施工性の良さから新設ケーブルでも使用頻度が高まっている。内径は300㎜で長さは1mである。
  • 合成樹脂製多孔管『(半割れ)孔多くん』:孔一くんの穴が2穴~9穴のタイプ。1穴の内径が50㎜~150㎜で長さは1mである。
  • 円型水路・雨水用側溝:写真の製品は「レインゲート」と「DCT側溝」。あくまで水路用の側溝として開発されているもの。G.L.面と合わせることができるのがメリットであるが、踏切際の鉄道用地内に施工する場合、G.L.面がフラットであるのが条件となるのが難点である。また、水路のため雨水を逃がすための穴が開いており、ゴミや砂利、タバコの吸い殻など可燃物が流れ込むリスクがあるため、ケーブル管としては不向きである。

 【ハンドホール】

 ケーブルの分岐点で設けるコンクリート製のマス。最近では軽量の樹脂製も製造されている。内径は□450㎜、□600㎜など多くあり、高さは1段あたり300㎜が一般的である。上段用と中間部用に分かれているが、積重ねや蓋を乗せることによる縁の溝の有無の差程度であり、最悪、上段用が2段になったり、中間部用だけになっても大勢に影響は無い。

(施工編)

 それぞれ下層には、基礎砕石(再生クラッシャーラン)や敷モルタルを敷き均す。

 道路横断管の土被り厚は、G.L.からヒューム管が600㎜、重圧管が100㎜、樹脂製管が200㎜が標準である。線路横断管の土被り厚については、先述のとおり、社内規程によられたい。一例としては、施工基面から300㎜以上とすること等が規定されている。

(参考:平成28年2月22日 国土交通省道路局「電線等の埋設物に関する設置基準」の緩和について)

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  • 道路横断管およびハンドホールの埋殺し

 工期や供用開始までに日程的に余裕がなく、用地内の横断管を撤去する間が無いとき、用地外の横断管において用地外の舗装を触れないときなど、横断管を埋め殺す必要がある場合があります。その際、単に空洞のまま埋め殺すのではなく、グラウト(無収縮モルタル)材を圧入することがあります。それを「グラウト工」といいます。ポストテンションのPCまくらぎの製造過程のセメントペーストを注入するグラウト作業も同様である。


⑤路盤工

 上記③や④の下地としても下記のような路盤材を敷き均す必要がある。

(材料編)

  • 豆砕石:砕石7号(2.5~5㎜)などの小粒の砕石。直結系軌道の消音バラストとして散布する砕石と同様。
  • 粒度調整(粒調)砕石:岩石や玉石をクラッシャーで砕き粒度を均一に揃えたもの。上層路盤に使用する。再生粒調砕石の場合は「RM-30」や「RM-40」等で表示されている。※R…リサイクル、M…ミックス、30…粒度
  • クラッシャーラン:岩石や玉石をクラッシャーで砕いただけの粒度がバラバラのもの。発生したコンがら等を砕いたものを再生クラッシャーランといい、一般に「RC-30」や「RC-40」等で表示されている。下層路盤に使用する。※R…リサイクル、C…クラッシャーラン、40…粒度

(施工編)

 先にクラッシャーランを100㎜程度敷きセメントを混合させ転圧、その上に豆砕石を30㎜程度敷きセメントを混合させ転圧などを施す。


⑥さく垣(フェンス)・門扉

(材料編)

 現行のフェンスでは1.5mタイプが多く敷設されているが、新設の際は、建築基準法の工事中の仮囲いの基準に準拠し、1.8mタイプに変更していくことが望ましい。また、忍び返しもあるとなお良い。横幅の1スパンは2mが一般的であるが、短く調節することは可能。

  • ネットフェンス
  • PCフェンス
  • 門扉:門扉の外側にプラスして歩行者のみが通れる小扉付きにすることがあるが、門扉の内側に小扉を取り付けるのは特注になるので、納期も延び、費用もかかるので留意しておく。

(施工編)

 水平器や距離計等を使用し、状態を確認しながら基礎や組立を施工していく。門扉については、ターンバックルで扉の傾きを調整できるので、水平を保ち、閂(かんぬき)が滑らかに動くようたまに確認すると良い。

 門扉の開き方向については内開きと外開きがあるが、外側は道路部であることが多いので、基本的には内開きとし、道路部における第三者災害を発生させないようにする。門扉内に傾斜がついており、内開きできない場合はできる限り落としを設け、門扉が不用意に移動しないよう注意する。


⑦仮設バリケード

(材料編)

  • ピン柵:ロープスティックと標識ロープの組合せという最も簡易でポピュラーなバリケード。立入り禁止の境界や重機のアタッチメントを仮置きする際の目印として設置する場合もある。
  • カラーコーン:自動車を駐車する際の交通整理用に設置するコーンバー。
  • ポール柵:基礎ブロックに設置し、チェーンで繋ぐバリカー。これは仮設より常設の方に位置付けられます。
  • 単管バリケード:いわゆるA型バリケード(断面がAの形をしているのでAバリ)と呼ばれ、工事用に一時的にフェンス代わりに使用するもの。下段の単管に砂詰めした土嚢袋をくくり、重石にすることがある。
  • ガードフェンス:いわゆるB型バリケードと呼ばれ(A型ではないという意味のB型)、工事用に一時的にフェンス代わりに使用するもの。A型より高さがありシートを使用したタイプなど目隠し要素が大きい。出入り口用の扉付きもある。

(施工編)

 いずれにしても線路用に使用するため、カラーコーンを除いて用地内であるか、風圧や第三者に移動させられないかを留意する必要がある。また、万が一倒れても線路に支障がないように意識しておく。


⑧基礎ブロック

(材料編)

  • フェンス支柱用:□180㎜×高さ450㎜
  • ポール柵用:□300㎜×高さ500㎜
  • 踏切注意柵用:□300㎜×高さ500㎜
  • とまれ標識用:□300㎜×高さ500㎜
  • 線路諸標用:□300㎜×高さ500㎜

(施工編)

 基礎ブロックを設置する際は、ポストホールディガー(縦穴堀り用ショベル)を使用し周りの土砂を崩さず効率的に掘削していく。設置後は、水平器や水糸等を使用し、基礎ブロックの高さを水平に揃えていく。


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