若手技術者の中には、特に保線作業が外注化され直接作業に触れたくても触れる機会が少なく、どのように作業が行われているか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、PCまくらぎの締結が効かなくなったときの「埋込栓修繕」を解説します。
目次
埋込栓修繕とはどんな作業か
PCまくらぎの締結ボルトは、まくらぎに埋め込まれた「埋込栓」にねじ込まれています。この埋込栓が効かなくなったり(通称:締結バカ)、ボルトが中で折れたり(中折れ)すると締結力が失われるため、栓を入れ直して締結を復活させるのが埋込栓修繕です。症状によってケミカル式とモルタル(樹脂)式を使い分けます。
ケミカル式(締結が効かない場合)
- 効かなくなっている締結ボルトをてっ去する
- 受け栓を電動ブラシでケレンする
- ケミカルアンカーを受け栓に挿入し、電動ドリルで割る
- すぐに締結ボルトを挿入し、ねじ山を作って固定しておく
- 20分程度で固まるので、締結装置を緊締し直して跡確認を行う
樹脂(モルタル)式(ボルト中折れ等の場合)
- あらかじめ印を付けておいた固い締結ボルトを、ボックススパナに単管を継ぎ足して2人で回して緩める
- ボルトが中折れした箇所は、コア抜き機で周りを空けてからハンマードリルで穿孔する ※騒音対策として防音シートを張ったテントで囲う
- 締結装置(板ばね・ボルト・ワッシャ・埋込栓)を間配る ※対側の締結装置をそのまま新品交換する場合もある
- 穿孔の粉じんは、穿孔を止めてから掃除機で吸引する ※ブロワーを使う場合は一方向に吹き、人にかからないよう注意
- 埋込栓を挿してボルト穴の高さに合っているか確認する ※深すぎる場合は底にかさ上げ材を敷き詰める
- 樹脂を規定の体積比(例:粉末2:液体1)で計量して混ぜ、最後に促進剤をほんの少し入れて素早く撹拌する ※古い促進剤は固まらないので使わない
- ボルト穴に樹脂を流し込み、埋込栓を入れて隙間がないか確認する ※足りない場合は受け栓を少し持ち上げて横から流し込む
- 板ばねを重石代わりに置き、10分程度(促進剤なしなら25分程度)待って固める
- 締結装置をボックススパナで緊締し、跡確認を行う
安全のポイントと現場のコツ
- 樹脂は「使う分だけ、素早く」。促進剤を入れたら固まり始めます。埋込栓の準備がある程度そろってから練るのがコツです。
- 粉じん・騒音対策はセットで。穿孔は住宅近接だと夜間騒音になります。テント・掃除機・ブロワーの使い方まで含めて段取りします。
- 固まる前に締めない。規定の硬化時間を待ってから緊締します。
用語ミニ解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 埋込栓 | PCまくらぎに埋め込まれた、締結ボルトを受けるねじ栓 |
| 締結バカ | 埋込栓のねじが効かなくなった状態の通称 |
| 中折れ | 締結ボルトがまくらぎ内部で折れてしまうこと |
| ケミカルアンカー | 薬剤入りカプセルで金物を固定する方式 |
| コア抜き機 | 円筒状に穴を空ける機械 |
| 促進剤 | 樹脂の硬化を早める添加剤 |
まとめ
埋込栓修繕は、締結力を取り戻す「まくらぎのねじ穴の外科手術」です。症状の見極めと樹脂の扱いに慣れれば、確実に直せる作業です。
次の記事では「19.まくらぎ交換(人力)編」を解説する予定です。
▼シリーズ「保線作業について学ぶ」を順番に読む
前:保線作業について学ぶ(17.分岐器部分交換編)
次:保線作業について学ぶ(19.まくらぎ交換(人力)編)
シリーズ目次:保線作業について学ぶ(全30回まとめ)
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