若手技術者の中には、特に保線作業が外注化され直接作業に触れたくても触れる機会が少なく、どのように作業が行われているか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、踏切のアスファルト舗装を直す「踏切舗装修繕」を解説します。まくらぎ交換や道床入替と同時に行われることも多い、段取りの複雑な作業です。
撤去(はつり)の手順
- 事前検測を行う
- 軌間内は専用アタッチメント、軌間外はバケットでアスファルトを人力運搬できる大きさに砕く ※砕き残しはバールでこじる。アスファルトの下に半コロを敷いて割る方法もある
- カッター切りが必要な場合はコンクリートカッターを使用し、水を補給しながら切り進める
- 砕いたアスファルトをダンプの奥から積んでいき、復旧面のバラストや土砂もカゴに入れて積み出す
ガードレール・踏切床板・護輪ラバーの扱い
- ガードレール周辺の犬くぎを抜き、ガードレールを軌間外へ出して埋め木を挿入する
- 踏切床板を交換する場合は、レール周辺のバラストを掻き出し、バールでレールを持ち上げてハンマーで横から叩いて外す
- 新しい踏切床板を入れ、まくらぎを穿孔する
- ガードレールを再度敷設し、フランジウェイ幅を見ながら半コロとジャッキで間隔材の隙間が無くなるまで張り、犬くぎを軌間内から打つ
- 護輪ラバーは長さを合わせて切断し、間隔材の位置に印を入れて耳を切り、上から軽く叩いて入れていく ※まくらぎ交換を伴う場合は、ラバーに位置(左①・右③など)を書いてから外すと復旧が速い
舗装(アスファルト打設)の手順
- バラストを補充してランマーで締め固め、レール際にゴム舗装材と樹脂を設置する ※ゴムはずらして重ね、くぎの打ちしろを確保する
- 当て木で高さを確認し、レールに養生テープを縦横に貼って保護する
- フランジウェイにはリン木を敷き詰めて確保しておく
- アスファルトをトラックから手前→中央→奥の順に角スコで崩しながら下ろす ※締固め時に所定温度(例:120℃以上)を保っているか確認。器具はプロパンの火で常時温められるようにしておく
- レイキと角スコで踏切に取り付くように均し、水をかけながらランマーで締め固める(1層目) ※水に軽油が混ざると固まらないため、ポリタンクや柄杓は絶対に共用しない
- 2層目を撒いて締め固め、道路とレールとカントを考慮しながら高さを調整する ※幅員端は半コロで押さえて崩れを防ぎ、最後はレイキで押さえる
- リン木をレール頭に当てて表面を均し、十分温めたコテで表面を押さえて仕上げ、養生テープを剥がす ※縦のテープは引っ張らずカッターで切る
- 表面と周辺を均して水で冷やし、ほうきでカスを掃く
- 標示ラインは、両端の位置を水糸で決めて切断し、接着剤を塗って貼り付け、ガスで炙って定着させる ※固まるまで踏まない
- 事後検測・跡確認を行う
目次
管理者(軌道工事管理者)のポイント
- 施工途中に限界測定器で、アスファルトが建築限界を支障していないか確認する
- 撤去したアスファルトは産業廃棄物として都度処理するため、マニフェスト(管理票)を当夜に持参して引き渡す
- 舗装の体積・重量は「面積×厚さ×密度」で計算して手配する(本復旧と仮復旧で厚さが異なる)
- 舗装高とアスファルト温度を測定し、写真で記録する
用語ミニ解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 護輪ラバー | フランジウェイを確保しつつ塞ぐゴム部材 |
| 踏切床板 | 踏切内でまくらぎの上に敷かれる板 |
| フランジウェイ | 車輪のフランジが通るための溝 |
| レイキ | アスファルトを均すトンボ状の道具 |
| マニフェスト | 産業廃棄物の処理を管理する伝票 |
| 仮張・本張 | 仮復旧の薄い舗装と、本復旧の舗装 |
まとめ
踏切舗装は「はつり→下地→打設→仕上げ」を一夜で完結させる総合格闘技です。温度管理と水・軽油の分離、限界確認。決めごとを守れば美しく仕上がります。
次の記事では「27.踏切のてっ去・復旧・移設編」を解説する予定です。
▼シリーズ「保線作業について学ぶ」を順番に読む
前:保線作業について学ぶ(25.道床修繕・バラスト散布編)
次:保線作業について学ぶ(27.踏切てっ去・復旧・移設編)
シリーズ目次:保線作業について学ぶ(全30回まとめ)
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