若手技術者の中には、特に保線作業が外注化され直接作業に触れたくても触れる機会が少なく、どのように作業が行われているか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、踏切部などにある連節軌道(連軌)の締結・軌道の修繕を解説します。施工会社や現場条件によってやり方が異なるため、代表的な2つの方式例を紹介します。
方式例①:締結のてっ去・復旧のみの場合
- くぎ抜きで舟形の洋くぎを、バールでゴムシュートをてっ去する
- 手で樹脂ブロックをすべて取り除く
- 締結ボルトを緩解し、手でてっ去する
- レールをてっ去したら、ヘラ等でタイプレート周りの油カスを除去する
- レールを納め、締結ボルトを緊締し、ボルト頭にマシン油を塗布する
- 樹脂ブロックとゴムシュートを戻し、スクリューくぎと舟形の洋くぎを打ち込む
方式例②:締結装置交換・軌道整正まで行う場合(2日施工)
【1日目:締結装置の交換】
- 樹脂・ゴムシュートの撤去は方式例①と同じ
- 前後20本程度のPCまくらぎの締結装置をてっ去する
- 吊上げ器で踏切前後をこう上し、荷締め器で隣接線のレールと帯で固定する
- ビータでタイプレートをてっ去し、ヘラや高圧洗浄機でレール跡をケレン・洗浄する
- タイプレートを交換し、レールを下ろして締結ボルトを交換・緊締する
- バールで締結装置のくさびを突いて軌間を調整し、連軌板に数か所の注入用の穴を空けておく
【2日目:軌道整正と充てん】
- 締結ボルトを最終締めし、踏切際の四隅をチッパーでほぐして油圧ジャッキを挿入する
- 組立式の山越器を組み立てる ※絶縁材が無いため短絡に注意。幅員の狭い踏切では使わない場合もある
- レベル測量で確認しながら、ジャッキと山越器でレールをこう上する
- 前後の両外からタイタンパーでつき固めて取り付ける
- 踏切前後のバラストを掻き、常温合材を敷き詰める
- 充てん材(2液混合の樹脂)を撹拌し、事前に空けた穴からジョウゴで流し込む ※合材の隙間から充てん材が見え始めたら投入をやめる
- 合材で再度蓋をし、バラストを掻き込む
- 連軌板とアスファルトの段差に補修材を流し、ヘラで敷き均して固まるのを待つ
- 事後検測・跡確認を行う
目次
安全のポイントと現場のコツ
- 金属器具の短絡に注意。連軌部は絶縁の弱い箇所があり、組立式山越器などの金物の扱いは慎重に。
- 充てん材は「見えたら止める」。入れすぎは段差や固まり不足のもと。合材の隙間からの見え方で判断します。
- こう上時は隣接線と固定。吊上げ器だけに頼らず、荷締め器で確実に保持します。
用語ミニ解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 連節軌道(連軌) | 踏切部などでブロックを連結して舗装された軌道 |
| 連軌板 | 連節軌道を構成するコンクリート板 |
| チッパー | コンクリート等をはつる打撃工具 |
| 常温合材 | 加熱不要で使えるアスファルト補修材 |
| 充てん材 | 路盤とブロックの隙間に流し込んで固める樹脂材 |
| ダメ締め | 仕上げの最終締め付けのこと |
まとめ
連軌修繕は、軌道・舗装・充てんの複合作業です。方式は現場によって異なるため、「どの方式で、どこまで直すか」を最初に共有することが成功の鍵です。
次の記事では「29.線路除草編」を解説する予定です。
▼シリーズ「保線作業について学ぶ」を順番に読む
前:保線作業について学ぶ(27.踏切てっ去・復旧・移設編)
次:保線作業について学ぶ(29.線路除草編)
シリーズ目次:保線作業について学ぶ(全30回まとめ)
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