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【書きかけ】線路トラブル対応まとめ

 保線社員も関わる各種トラブルや災害にはどのような事例があるか整理しておきましょう。線路設備が原因になるものや、周辺環境が起因となって線路設備にも影響が出てしまい、対応が余儀なくされるもの、社員全員で対応するもの…さまざまあるので、しっかり心積もりし、ダウンタイムの縮小に少しでも寄与できるよう努めたいものですね。

 鉄道事業者によって取扱いは異なりますが、目安として一例を紹介しておきます。


目次

線路故障時パターン

レール張出し(→レール高温時)

 道床などの抵抗力が弱まっているところに、主にレール高温がダメ押しとなって、著大通り狂いが発生する事象。レール折損のように短絡しないので、乗務員による動揺通告で判明するパターンで判断するのが実態。最悪の事態では脱線に至る。基本的には、「大きめの軌道変位を放置している状態」「夏場に道床を緩める作業に起因するパターン」「過去の設定温度が施工不良により低すぎたパターン」「バラスト量やまくらぎ状態が不良で、レールの高温が競合するパターン」等が一般的である。

 異常な動揺通告で列車を停止させ、保線係員が現地調査、状況によっては整備の要否を判断し、列車徐行による運転再開の判断とする鉄道事業者もある。また、レール伸縮管理の理論から、レール温度そのものが高温になることで、列車を徐行させたり、停止させたりする場合もある。

レール折損(→信号トラブル)

 湿潤環境にある箇所でレールが腐食していたり、列車の転動や衝撃荷重によりレール損傷が発生、最悪の場合、折損に至り短絡状態となり、信号機が踊ったり、停止現示(赤)となる。レール温度が低温になることで、引張力がはたらき折損を助長させる。

 折損時の開口量やその他軌道状態などの条件により、列車を徐行させるか停止させるか判断する鉄道事業者もある。

※信号トラブルが全て「レール折損」ではないので誤解のなきよう注意されたい

レール継目板折損

 レール継目部の継目落ち、過大遊間が一因となり、繰返し荷重によって継目板に亀裂が生じたり、折損したりする事象。

 亀裂・折損が片側(片面)なのか両側(両面)なのかで、列車を停止させるかどうか判断する鉄道事業者もある。

 継目落ちや過大遊間の解消や衝撃を緩和させる対策、定期的な継目板の交換などの予防保全があるが、抜本的な対策はかなり難しいのが現状である。

 亀裂等の状況によっては、停止させない場合もあるが、交換する際は一時的に撤去した状態となるため、その間は停止せざるを得ない。

継目板ボルト脱落・折損

 上記「レール継目板折損」と同じような原因で、継目板のボルトが脱落したり、折損したりする事象。

 60kgレールは6本、50Nレール以下は4本が一般的であるが、その脱落する位置や本数によって、列車を停止させるかどうか判断する鉄道事業者もある。

 上記「レール継目板折損」と同様の対策に加え、ボルトを高強度ボルトにしたり、ナットをハードロックにするなどの対策があるが、これも完全に防止するのは極めて難しい。

軌道短絡(矯絡・地絡含む)

 人為的なものを除けば、上記「レール折損」による短絡、分岐器絶縁部やレール絶縁部の金属片の介在による矯絡、鋼直結橋梁における各種材料を介したレールと橋桁との接触による地絡が挙げられる。

道床陥没

 豪雨や過去に電化柱があった箇所、橋梁前後の裏込め部付近で発生しやすい。

 陥没が発生した位置によって、線路への影響を確認し、列車を徐行させたり停止させたり判断する鉄道事業者もある。

分岐器トングレール割出し(異線進入)

分岐器トングレール密着不良・転換不能

まくらぎや付近の雑草/枯れ枝等から発煙

 列車の制動などにより脱落した制輪子片から引火したり、沿線からのタバコのポイ捨てから引火するパターンが主な原因である。

 特に、ローカル線や貨物走行線区などの、まくらぎがコンクリート化されていない箇所において、制動区間が決まっているため、同じような箇所で発生しやすい。


自然災害対応パターン

土砂流入

 山の斜面の土砂崩れや、のり面崩壊により、線路内に土砂が流入し、建築限界を支障した場合に列車が走行できなくなる事象。土砂流入したことが分からず、最悪の場合、列車が土砂に乗り上げ脱線する危険性もある。

落石

 山の斜面にある岩の落石により、線路内に落下した落石が建築限界を支障した場合に列車が走行できなくなる事象。落石に気づかず、最悪の場合、列車が落石に接触し脱線や列車を損傷させる危険性もある。

 落石検知器などの各種システムによって、落石したことを把握し大惨事なるのを未然に防ぐ対策をとっている事業者もある。

雨量計規制値到達

 一定範囲ごとに雨量計(転倒マス含む)を設置し、時間単位ごとの雨量を測定、地域により一定の雨量に達すると、列車を徐行させたり、停止させたりする。

 規制値には、1時間あたりの時雨量、24時間雨量、連続雨量、それら組合せで設定されている。

 最近では、事業者が設置した雨量計に加え、ゲリラ豪雨に備えて、気象庁データを細かいメッシュデータとして取り込んで、その範囲を包括する駅間を運転規制させるシステムを採用している事業者もある。

橋梁桁下水位規制値到達

 上記の雨量に伴って河川の流量が増加するが、その桁下水位が橋梁により残り3〜4mに近づいてくると運転規制することがある。

風速計規制値到達

 風速25m/sや30m/sを超えてくると、その受け持ち範囲で運転規制をかける。

※山陰本線の余部鉄橋は、昭和61年12月に発生した列車転落事故以降、強風による運行規制が25m/sから20m/sへと強化された。

 また、各種工事の規制値としては、労働安全衛生規則やクレーン等安全規則で、強風(10分間の平均風速が毎秒10メートル以上)や暴風(瞬間風速が毎秒30メートルを超える風)によって作業の禁止事項が定められている。

地震計規制値到達

 加速度が40ガル以上や、計測震度が4以上などの検知した場合、その受け持ち範囲の駅間を運転規制する事業者がある。

レール高温時

 レール温度が60℃を超えてくると、その温度計の受け持ち範囲の駅間で徐行や停止などの運転規制がかかる。60℃は予想される最高レール温度であり、北海道など気温が低い地域は異なる場合がある。

 また、ロングレール安全度や遊間安全率が低下(悪化)している箇所を残置している場合、その規制温度は下がってくる。

倒木・倒竹限界支障

 風や雨による倒木や倒竹が架空線に引っ掛かったり、線路内に落下することで建築限界を支障し、列車が停止する。特に架空線に引っ掛かった場合は、撤去するのに停電する必要があるためさらに時間を要する。


事故対応パターン

人身事故(お客様との接触)

異音感知(置石等)

 レール上の置石を車輪で踏む等することにより、異音を感知すると、乗務員(運転士等)は列車を停止させ、状況を確認しなければならない。その状況確認に多少時間を要し、遅延が発生する。

 一方、保線社員はその一報を受けた場合、現地の線路に異常が無いか確認しなければならない。運転再開は乗務員が車両確認で異常が無いと判断すれば可能である。したがって、線路点検は運転再開前後に実施する。

 ちなみに、置石は自動車からの落下や人によるいたずらもあるが、カラスによるいたずらが圧倒的に多い。特にカラスが多い箇所は、カラス避けの対策を実施している場合もある。

火災/沿線火災(発煙)

 列車の車輪の制輪子や鉄粉、タバコのポイ捨て等により、線路の木まくらぎや沿線にある草木に引火し、発煙を認めた場合、列車が停止する。

 主に、貨物線の設備投資が行き届いていないために、まくらぎがコンクリート化されていないため、貨物列車の制動区間で制輪子により木まくらぎに引火しやすい。

橋桁・防護工接触

線路内支障物(飛来物)

 上記「倒木・倒竹限界支障」と同様。

小動物接触(猪・鹿等)


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