Twitterでの情報発信はコチラclick

鉄道設計技士(鉄道土木)を取得する②(共通試験編)

 共通試験は全部で30問出題され、全て回答が必要です(2021年~は問題数に変更はないが、マークシート形式に変更されたため自分で語句等を記入することは無くなった)。

 問題は鉄道総合技術研究所(以下、総研という)が作成していることから、総研の特色というかクセのようなものが問題の傾向として表れます。総研が発刊している「わかりやすい鉄道技術」という書籍があり、「土木編」「電気編」「車両・運転編」の3冊に分かれています。この3冊はとても試験対策に役立ちますが、特に保線屋にとって「電気編」「車両・運転編」は章ごとに分野別で記述されており、非常に役立ちます。

 下表は平成24(2012)年以降の共通試験問題の分野別出題数を表していますが、その分野を書籍の項目ごとに整理した一覧です。平成24年以降だけ掲載しているのは、専門試験Ⅰの回答計30問のうち、多く出題される「鉄道構造物等設計標準・同解説(軌道構造)」の改訂年月が平成24年1月であり、それ以前の過去問により誤って理解しないために敢えて割り切るという判断をしたためです。

 したがって、共通試験に限って言えば、設計標準は影響しないため、可能な人は平成23年以前も取り組まれても良いかと思います。

 上表をみると偏りがあるのがわかります。「法規」は必ず初めに10問、その後はランダムで出題されますが、「一般」「保線」「土木」「信号保安」「電路」「車両」「運転」に集中しています。

 あくまで私見ですが、「法規」「保線」「土木」「信号保安」「電路」は、まだ覚えやすいですが、「一般」「車両」「運転」は、苦労しました。もちろん、得意・不得意があるのかもしれませんが。

 特に「一般」と一言にまとめていますが、出題内容は多岐に分かれています。『SI単位』『力学・物理・運動・材料』『三角関数』『複素数』『統計』『環境』『再生可能エネルギー』『電気・電池・電力・仕事・電磁誘導』『データ通信』『電波・信号処理』『GNSS』『地震』『物質の状態』『光』『非破壊検査』などが過去に出題されています。当然、いつ何が出るか分かりません(-_-;)

 これらを踏まえて、分野別に出題傾向と勉強方法、参考文献の紹介をしていきます。


①法規

【平均問題数】

 10問

【出題傾向】

 出題される法令は限定的です。

 「鉄道事業法」「鉄道事業法施行規則」「鉄道事業等監査規則」「鉄道事故等報告規則」「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」が9割以上を占めていて、ごく稀に「鉄道施設等検査規則」「鉄道事業等報告規則」「バリアフリー新法」「踏切道改良促進法」等からも出題されています。

【勉強方法】

 9割以上を占める5法令の出題された部分の条文に線を引くなどし、繰り返し過去問を解いていけば自然と覚えられます。

【参考文献】※下記のいずれかでOK

  • 法令検索ホームページ https://elaws.e-gov.go.jp
  • 注解 鉄道六法 令和3年版
  • 関係法令集(日本鉄道施設協会の受験対策講習会教材)

②一般

【平均問題数】

 7問

【出題傾向】

 数学、力学、地学、材料工学、統計学、電気等から出題され予測は不可能です。しかし、『SI単位』や『電気回路』、『力学』の問題は頻出されていますので、確実に押さえておきましょう。

【勉強方法】

 過去問を解いて基礎を思い出しながら、頻出問題は押さえつつ、得意分野が出題されれば確実に取りにいくぐらいのスタンスで良いかと思います。

【参考文献】

  • 参考資料(日本鉄道施設協会の受験対策講習会教材)

③保線

【平均問題数】

 3問

【出題傾向】

 基本的には、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の解釈基準から多く出題されます。また、保線の基礎知識が問われます。

【勉強方法】

 『解説 鉄道に関する技術基準(土木編)第三版』を片手に過去問を押さえておけば大丈夫です。受験される方は、日常業務もある程度幅広く経験されてきていると思いますので、ここはそんなに苦労しないでしょう。

【参考文献】

  • 「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」
  • 解説 鉄道に関する技術基準(土木編)第三版
  • 鉄道構造物等設計標準・同解説(軌道構造)
  • JISハンドブック 鉄道 2019

④土木

【平均問題数】

 1問

【出題傾向】

 橋梁の構造や部位の名称の問題が頻出されています。稀に、トンネルの構造や土構造物なども出題されます。

【勉強方法】

 『わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・土木編]-改訂版-』を見ながら、過去問を押さえる程度で大丈夫です。『鉄道構造物等設計標準・同解説』は全部で11種類(軌道除く)、『鉄道構造物等維持管理標準・同解説』は全部で5種類(軌道除く)もあり、全部購入するとかなり高額になりますので、お勧めしません。

【参考文献】

  • 鉄道構造物等設計標準・同解説(土構造物)
  • 鉄道構造物等設計標準・同解説(土留め構造物)
  • 鉄道構造物等維持管理標準・同解説(構造物編)※5種類ある
  • わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・土木編]-改訂版-

⑤信号保安

【平均問題数】

 1問

【出題傾向】

 信号機や転てつ器、地上子(ATS、ATC、ATO)に関する問題が多く出題されます。

【勉強方法】

 基本的には『わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・電気編]』を片手に過去問を解いておけば良いと思いますが、余裕がある人は『解説 鉄道に関する技術基準(電気編)第四版』もあると解きやすくなるでしょう。

【参考文献】

  • 解説 鉄道に関する技術基準(電気編)第四版
  • わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・電気編]-改訂版-

⑥通信

【平均問題数】

 1問未満

【出題傾向】

 過去の出題数が少ないので傾向は探れませんが、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の解釈基準から『保安通信設備』について問われています。

【勉強方法】

 基本的には『わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・電気編]』を片手に過去問を解いておけば良いと思いますが、余裕がある人は『解説 鉄道に関する技術基準(電気編)第四版』もあると解きやすくなるでしょう。

【参考文献】

  • 解説 鉄道に関する技術基準(電気編)第四版
  • わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・電気編]-改訂版-

⑦電路

【平均問題数】

 1問

【出題傾向】

 電車線の設備の役割や名称から毎年1問ずつ出題されています。支持物や材料、集電装置、区分装置、電車線の分類などです。まとめて覚えてしまえば、そんなに難しくはありません。

【勉強方法】

 『わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・電気編]-改訂版-』を見て、過去問を解いておけば十分です。

【参考文献】

  • わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・電気編]-改訂版-

⑧変電

【平均問題数】

 1問

【出題傾向】

 電車線の電圧(何ボルト等)や電気方式(直流・交流等)、変電所設備などから出題されています。

【勉強方法】

 『わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・電気編]-改訂版-』を見ながら過去問を解けば大丈夫です。

【参考文献】

  • わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・電気編]-改訂版-

⑨車両

【平均問題数】

 4問

【出題傾向】

 一般部門の次に多く出題されるのが車両部門です。問題の種類も多岐に渡ります。JIS鉄道車両から出題されたり、車体構造、解釈基準、電力変換装置、駆動システム、構体、法令による車両の確認、台車、輪軸、車両の連結、動力方式、使用材料などです。

【勉強方法】

 これも同じく過去問に取り組む以外ないですが、出題数も多く、車両や機械モノが好きな人でない限り保線屋には厳しいです。参考文献を購入するか、会社などで揃えられる人はマシですが、それができない人は、問題のジャンルごとにノートにまとめるなどして覚えていく方法が良いでしょう。(私も技術基準までは見れませんでした。)

【参考文献】

  • 解説 鉄道に関する技術基準(車両編)第三版
  • JISハンドブック 鉄道 2019
  • わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・車両編・運転編]-改訂版-

⑩運転

【平均問題数】

 2問

【出題傾向】

 「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」および「解釈基準等」や「JIS通勤用電車の性能通則」、「鉄道信号」、「強風時の運転規制」、「運転線図・運転曲線(ランカーブ)」などから出題されます。特に、法令・信号・運転線図の問題が頻出しています。

【勉強方法】

 運転も保線屋としては、取っつきにくい問題かもしれませんが、出題数や種類は多くないので、過去問を整理すると覚えられるレベルかと思います。

【参考文献】

  • 解説 鉄道に関する技術基準(運転編)第8版
  • JISハンドブック 鉄道 2019
  • わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・車両編・運転編]-改訂版-

以下は、上記で紹介した書籍の購入・参照ページです。

※下に直接買える通販サイトのリンクもあります。

・法令検索

 →法令であれば、ホームページhttps://elaws.e-gov.go.jpで閲覧できます。

注解 鉄道六法 令和3年版(※令和3年版は2021/12/20~発売)

 →一般のインターネット通販サイトで購入できます。

解説 鉄道に関する技術基準(土木編)第三版 ※必須(2023年2月に第四版発売予定)

 →一般社団法人日本鉄道施設協会 出版図書ページで購入できますが、現在は売り切れ。

  URLはhttps://www.jrcea.or.jp/publication

鉄道構造物等設計標準・同解説シリーズ

鉄道構造物等維持管理標準・同解説シリーズ

 →一般財団法人研友社 図書お申込みページ、通販サイトで購入できます。

  URLはhttps://www.kenf.jp/book/book_list.html

解説 鉄道に関する技術基準(電気編)第四版

 →一般社団法人日本鉄道電気技術協会 図書ページで購入できます。

  URLはhttps://www.rail-e.or.jp/books/business

解説 鉄道に関する技術基準(車両編)第三版

 →一般社団法人日本鉄道車両機械技術協会 刊行図書ページで購入できます。

  URLはhttp://www.rma.or.jp/library/train1.html

解説 鉄道に関する技術基準(運転編)第8版

 →一般社団法人日本鉄道運転協会 出版物ページで購入できます。

  URLはhttp://unten.seiwado.biz/publication/?ctt=1

JISハンドブック 鉄道 2019

 →一般のインターネット通販サイトで購入できます。

わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・土木編] -改訂版- ※必須

・わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・電気編] -改訂版- ※必須

・わかりやすい鉄道技術[鉄道概論・車両編・運転編] -改訂版-  ※必須

 →一般財団法人研友社 図書お申込みページで購入できます。

  URLはhttps://www.kenf.jp/book/book_list.html


 さいごに、↑このブログだけでも十分に頭の整理とスタートダッシュができると思いますが、共通試験が一番苦戦すると思いますので、自力で勉強するのが大変な方は、私が作成した受験対策テキストも販売していますのでそちらも参考にしてください。⇒ https://track-mainte.com/textbook


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (4件)

  • こんにちわ
    ブログ拝見させて頂いてます❗

    都内で保線工事に従事しています
    鉄道設計技士試験に受かるまでざっくりどのくらいの期間、時間がかかったか教えてもらえないでしょうか?

    • こんばんは。
      ブログを閲覧いただき、ありがとうございます。

      私の場合、期間は
      初年度:1次(共通+専門Ⅰ)合格 ⇒ 2次(専門Ⅱ論文)は非受験
      翌年度:1次(共通+専門Ⅰ)免除 ⇒ 2次(専門Ⅱ論文)不合格
      翌々年度:1次(共通+専門Ⅰ)免除 ⇒ 2次(専門Ⅱ論文)合格

      所要時間
      ・初年度は春頃から1次用の対策ノート作成に時間を要したため、1次は合格したが、論文の勉強をしなかったため受験しませんでした。
      ・翌年度は春頃から論文用の模範解答(20種類弱)作りに励み、試験に挑むも一風変わった試験が出題され、経験を活かし書き切るも不合格。
      ・翌々年度は8月頃から論文にさらに磨きをかけ、試験に挑み合格しました。

      感想
      ・受験する場合は、ダメ元でも午後からの論文試験も受験した方が良いです。
      ・論文試験については、運も重要です(笑)。今まで出題されたことがないパターンの問題に出くわすと最悪です。

  • 丁寧なご返信ありがとうございます。
    受験できる年の1年前程度から一次試験の準備をし、自分のペースと相談しながら追々論文対策もしていければと考えております。

    論文の条件が少し緩和(文字制限撤廃・業績論文の撤廃)されたので、試験方法がまた変わらないうちにこちらのブログを参考にしつつ合格できるように頑張ります!

    • こちらこそコメントありがとうございます。
      ブログを見て参考にして頂ける人がいることが一番の励みになります。

      試験問題の改変については、緩和された部分と点数配分比率が変更された部分とがあり、まだ記述試験を誰も経験していないだけに準備が難しいですよね。
      私も他の記事をもっと充実させたい気持ちを抑えつつ、時間が許す限り現在は鉄道設計技士ブログに専念しております(笑)。

      admstpさんが少しでも合格に近づけるように、心から応援しております。
      仕事や勉強、コロナ等で大変な中ですが、お体には気を付けて頑張ってください。

コメントする

目次