若手技術者の中には、特に保線作業が外注化され直接作業に触れたくても触れる機会が少なく、どのように作業が行われているか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、分岐器の部分交換に先立って行う「現場調査(寸法取り)」を解説します。
目次
現場調査とはどんな作業か
分岐器のレールは形状が複雑で、同じ「トングレール」でも現場ごとに長さや摩耗状態が違います。交換用のレールを正確に製作・手配するために、現地でレール寸法や食い違い、遊間などを細かく測って記録するのが現場調査です。この精度が、交換当夜の成否を決めます。
寸法取りの手順
- 各レールの寸法をスチールテープで測定する。ゼロ位置を先に当て、「ゼロオッケー」等と声を出して合図する
- 責任者が読み値を確認し、白鉛筆でレール頭部に記入していく
- 交換レールの測定が終わったら、テープを逆にして別の人が読み直す(ダブルチェック)
- トング先端の食い違いは、基準側のトング後端にテープのゼロを当てて先端位置を測り、基本レール側に同じ読み値の位置を白鉛筆と曲尺で線を引く
- トングが基本レールに密着している側は、先端位置に線を引いておく
- 基準側の線上にレーザースコヤのゼロを当て、対側への照射位置に線を引く ※基準側に曲率が付いている場合は、2500mm程度前方でもう一度線を引いて照射する
- 対側の線どうしの離れを測り、どちらへ何mmズレているかを確認する
- 曲リード交換の場合は、1/4・2/4・3/4の位置に線を引き、水糸を当てて各位置の矢(曲がりの量)を測定する
- ガードやヒールボルト穴の位置は、両外の継目からテープを当てて正しいか確認する。ガードはボルトの挿入箇所を「◯◯× ◯×◯」のように記録する
- 各継目の遊間量も測定し、レール頭部に各種測定値を記入する
- 支障物(融雪器・ゲージタイ・ゲージストラット・減摩器等)や継目の段違い量・継目種別など、特異な情報を漏れなく把握する
- 締結ボルトや継目板・ボルトに注油して、跡確認を行う
管理者(軌道工事管理者)のポイント
- 軌間・水準・バックゲージ・ガードのフランジウェイ幅も測定・記録させる
- トング先端の食い違いはレーザースコヤで量と方向を測る ※内方分岐は内軌側に当てると誤差が少ない
- 分岐器の頭から尻まで、遊間込みの総レール延長と、遊間を除いた1本ずつのレール長を両方測ってダブルチェックする
- 全景と交換レールの継目付近の写真を撮っておく
- 継目ごとの標準遊間(絶縁・ヒール部は0mm、その他は6mm等)を前提に、食い違いと遊間を同時に直す交換計画を立てる。基本は交換レール側で調節し、無理な場合は対側や付帯レールを動かす計画とする
- 段違い継目板の量と向き、シムの有無を確認し、交換時の段違い量を検討する
用語ミニ解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| トングレール | 分岐器の進路を切り替える先の尖った可動レール |
| 食い違い | 左右のトング先端位置のズレ量 |
| 曲リード | 分岐器内の曲線側のリードレール |
| 矢(や) | 水糸を張って測る曲がりの量(正矢) |
| バックゲージ | クロッシングとガードの間の重要寸法 |
| レーザースコヤ | レーザーで直角方向を照射する測定器具 |
まとめ
分岐器の部分交換は「測った通りにしか直らない」作業です。声出し・ダブルチェック・写真記録で調査の精度を上げることが、当夜の手戻りを防ぐ一番の近道です。
次の記事では「16.レール加工編」を解説する予定です。
▼シリーズ「保線作業について学ぶ」を順番に読む
前:保線作業について学ぶ(14.遊間整正編)
次:保線作業について学ぶ(16.レール加工編)
シリーズ目次:保線作業について学ぶ(全30回まとめ)
▼保線の資格・テキスト
保線業務に有用な資格とは?
鉄道設計技士(鉄道土木)受験対策テキストの詳細

コメント