若手技術者の中には、特に保線作業が外注化され直接作業に触れたくても触れる機会が少なく、どのように作業が行われているか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、分岐器のレールを部分的に交換する「分岐器部分交換」を解説します。前回の現場調査編で測った寸法を、実際の交換につなげる作業です。
目次
準備(積込・運搬・仮設)
- (直結軌道の高架上など受台が組めない現場では)半コロを多数持ち込み、囲炉裏(井桁)に組んで受台をつくる準備をしておく。大物器具はスペースのある箇所に仮置きし、シートで養生する
- 分岐レールの積込みは、現場で卸す順番を考慮して積む ※トングレールの止め金具が引っ掛かりやすいので注意
- 現場では建築限界の外に置き、レールは倒して置く ※トングレールは倒さず、リン木を敷いて置く
- 交換日に向けて事前検測(軌間・水準)を行い、跡確認をして準備完了
交換当夜の手順
- トロで新レール(基本・トング・リード・主)を交換位置の手前まで小運搬する
- 旧レール仮置き用(囲炉裏)と山越器据付け用に半コロをセットしておく ※レールとトロを越える高さが必要
- ボルト緊解機とラチェットで継目を解体する。締結装置は種類に応じて外していく ※ガード付きの場合はガードボルトも緩解し、使用していた調整板には印を付けておく
- 転てつ棒の脱落防止金具の被覆番線を切って金具を外し、タイバーボルトを外す
- ポイントガードボルトに印を入れ、緩めて抜き取る
- 山越器2〜3台を軌間をまたぐようにセットし、旧トングレールを帯で吊り上げる ※止め金具が基本レールに引っ掛からないよう注意
- 新レールを載せたトロを山越器の下に潜らせて交換位置まで運び、旧トングレールをトロへ、新トングレールを交換位置へ順に入れ替える ※連結板やボルト類に引っ掛からないようバールで押さえる
- 基本レールも同じ要領で受台を使いながら入れ替える ※床板に収まるようバールで押さえ、レールブレスのボルトを止めていく。前後の継目にグリスを塗り、継目板を仮締めする
- トング先端の食い違いは、バールを止め金具に当てて縦送りしてゼロに合わせる
- リード・主レールも同じ要領で交換する。遊間量を考慮し、ローラーキャッチで吊って縦移動させる場合もある ※小返り(レールの倒れ)に注意。絶縁継目がある場合は先に信号業者に仮締めしてもらう
- ポイントガードは、旧を吊って仮置き→新を据えて調整板を入れ、高強度ボルトを軽く仮締めし、バックゲージ(BG)とフランジウェイ幅(FW)を確認しながら調整板で調整する
- 発生レールを片付ける ※古レール仮置き用に基本レールの両外へ半コロを等間隔に置く(融雪器等に注意)。曲げレールは反るのでバールで押さえ、限界を支障しないよう注意
- 新レールを据えるときは、継目に目板やスパナを斜めに挿して所定の遊間(例:6mm、ヒール・絶縁継目は0mm)を確保する ※絶縁継目はファイバーがちょうど入る程度に空ける
- 継目板・タイバーボルト・締結装置を取り付ける ※継目板やレール穴にグリスを塗る。ヒール部は中立にし、決められた順序で締める。段違い継目板が無い場合は必要によりシムを挿入。絶縁継目板は信号業者が取り付けるが、先に締結装置の座金を付けておかないと入らなくなる。仕上げに合いマークを入れる
- 脱落防止金具と被覆番線を取り付け、器具を片付ける
- 事後検測・跡確認を行う ※ポイント部は軌間を見て、レールブレスで調整する
管理者(軌道工事管理者)のポイント
- 継目板(分岐・段違・絶縁)や各種ボルト・ワッシャ・絶縁板などの部材を漏れなく持参する
- 必要に応じて新旧レールの寸法を再測定し、仮置き位置を事前に確認しておく
- トング先端の食い違い・各遊間量・継目の段違い量を交換前に把握し、必要ならグラインダーで調整する
用語ミニ解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 基本・トング・リード・主 | 分岐器を構成する各レールの名称 |
| タイバー・転てつ棒 | トングレールを連結し、転換させるための棒類 |
| バックゲージ(BG) | クロッシングとガード間の重要寸法。脱線防止に直結 |
| フランジウェイ幅(FW) | 車輪のフランジが通る溝の幅 |
| レールブレス | 分岐器内でレールを横から支える調整金具 |
| 小返り | レールが長手方向を軸に倒れ込むこと |
| リン木 | レール等を置くときに敷く木材 |
まとめ
分岐器部分交換は、レール交換の技術に加えて「分岐器ならではの寸法管理(食い違い・BG・FW・遊間)」が問われる作業です。調査どおりに交換し、検測で裏付けて完了です。
次の記事では「18.PC埋込栓修繕編」を解説する予定です。
▼シリーズ「保線作業について学ぶ」を順番に読む
前:保線作業について学ぶ(16.レール加工編)
次:保線作業について学ぶ(18.PC埋込栓修繕編)
シリーズ目次:保線作業について学ぶ(全30回まとめ)
▼保線の資格・テキスト
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