専門試験Ⅰとは
【専門試験Ⅰ】~2020年度まで
2020年度までは必須問題と選択問題に分かれており、必須問題は問1~20の20問で、選択問題は問21~30のうち5問、問31~40のうち5問の計30問となっています。
〔必須問題〕
土木という広い枠組みの中でも「法規」「一般」「保線」「土木」に分類することができます。その出題数20問の内訳は平成29年以降、順番に、法規:2問、一般:2問、保線:8問、土木:8問となっています。平成28年までは、順番も出題数ももう少しバラバラでした。
〔選択問題〕
5問ずつ好きな問題を選べるわけですが、出題数は、前半10問のうち保線:5問、土木:5問、後半10問のうち保線:5問、土木:5問となっています。当然、私たちは保線屋なので、前半・後半とも保線の5問を選択しますよね。…選択してください。「保線」については解説不要だと思いますので、受験対策テキストは、必須問題の「法規」「一般」「土木」のみを抽出していますのでご了承ください。
【専門試験Ⅰ】2021年度~
〔選択問題〕
全30問のうち20問を選択し回答します。出題ジャンルの内訳は、 法規:1問、一般:0~1問、保線:14問、土木:14~15問となっています。20問を選択するわけですから、「法規」「一般」「保線」を選んでもまだ15~16問しかなく、残り4~5問は「土木」から選ぶしかありません。とはいえ、2020年度までと比較すると、土木の回答する問題数は減っていますので、過去にまとめた知見を活かしつつ、以下のとおり整理していきましょう。※21問以上回答すると0点になるので注意!
さて、これから具体的に解説していきますが、問題をみると、『鉄道構造物等設計標準・同解説』や『鉄道構造物等維持管理標準・同解説』、『○○示方書』などから多く出題されているのが分かります。下表は、平成24年(2012年)以降の内訳です。さきほどの規定類に基づく2020年度までの選択問題は基本的には土木問題からの出題であるので、ここで注目すべき部分は必須問題です。必須問題においても5~10問近く出題されていることから、頻出している「土工」「コンクリート」「鋼」「基礎」「トンネル」は過去問を整理し、押さえておく必要があります。2021年度からは選択問題だけになりましたが、少なからず土木問題も回答する必要があることから、これまでの出題傾向を踏まえつつ頻出ジャンルは押さえておく方が無難でしょう。
では、分類ごとにどういった問題が出題されたか確認していきましょう。
新 選択問題(旧 必須問題+旧 選択問題)
法規
【平均問題数】
2問(平成28年以降)※R3以降は1問
【出題傾向】
大きく分けて、「交通」と「環境」です。「交通」は『解釈基準等』や『バリアフリー関連法』、『交通計画』などの駅の設備や旅客の流動に関する問題が出題されます。「環境」は『環境影響評価』や『土壌汚染対策』、『建設リサイクル法』など基本的な事柄が問われます。
【勉強方法】
これは、問題自体は難しくないので、たまに下記技術基準を見ながら過去問を解いて覚える程度で良いかと思います。
【参考文献】
- 法令検索ホームページ https://elaws.e-gov.go.jp
- 解説 鉄道に関する技術基準(土木編)第四版
一般
【平均問題数】
2問(平成28年以降)※R3以降は1問
【出題傾向】
力学の基礎から主に出題されます。特に、はりの反力やモーメントを求める問題、材料の応力やひずみを求める問題が頻出しています。他に、つり合いや周波数など、別ジャンルの問題は1度のみでほとんど出題されていないので、余裕がある人は押さえておきましょう。
【勉強方法】
学生時代に構造力学を学んだ人は思い出しながら解けるかもしれません。しかし、他の学部の方や苦手な方は、この2問を勉強するのに時間を要しますので、思い切って捨てるのもアリでしょう。
【参考文献】
- 参考資料(日本鉄道施設協会の受験対策講習会教材)
保線
【平均問題数】
14問(2020年度までは8問)
【出題傾向】
軌道構造や軌道材料、軌道変位、脱線など基本的な記述から出題されます。
【勉強方法】
下記参考文献をたまに見て過去問を解く程度で、ほとんど力を入れなくて良いでしょう。保線屋は日常業務の知識で対応できる問題が多いです。
【参考文献】
- 解説 鉄道に関する技術基準(土木編)第四版
- 鉄道構造物等設計標準・同解説(軌道構造)
- 鉄道構造物等設計標準・同解説(土構造物)
土木
【平均問題数】
14~15問(2020年度までは8問)
【出題傾向】
上表の『鉄道構造物等設計標準・同解説』から多く出題されているのが分かります。他にも、土工やコンクリート工の一般的な内容が幅広く問われます。また、冒頭にも記述したように、「土工」「コンクリート」「鋼」「基礎」「トンネル」が頻出しています。
【勉強方法】
保線屋で土木問題は苦手な上、下記参考文献も揃えるのは難しいかと思いますが、出題数も多く比率が高いため、手を抜くわけにはいかない厄介な問題だと思います。鉄道設計技士を受験する前に、土木施工管理技士の受験など、土木全般の勉強をしてきた方は取り組みやすいかもしれませんが、土木工事の設計などの実務経験が少なく、これから受験される方は頭に入りづらいかもしれません。
これも他の分野同様に、苦手な方は特に過去問を種類ごとに整理して覚えていくしかありません。
【参考文献】↓揃えるのは厳しいですが…
- 鉄道構造物等設計標準・同解説(各種)
- トンネル標準示方書(各種)
- コンクリート標準示方書(各種)
旧 選択問題(~2020年度まで)
保線(保線屋として保線問題を選択した場合)
【問題数】
5問+5問=計10問
【出題傾向】
必須問題とそれほど違いはありません。
【勉強方法】
必須問題と同様な方法で良いでしょう。
【参考文献】
- 解説 鉄道に関する技術基準(土木編)第四版
- 鉄道構造物等設計標準・同解説(軌道構造)
- JISハンドブック 鉄道Ⅰ(施設・電気) 2023
ここまで(共通試験+専門試験Ⅰ)来て合格すれば、残すは専門試験Ⅱ(記述式&論文式)だけとなります。落ちても3年間は有効のため、午前の試験は免除となり、午後だけの受験となります。かなり気がラクです。論文に関しても次回の④で解説やヒントをまとめますので、読んでもらえると幸いです。
※それでも自力で勉強するのはキツイ!という方は…
コメント