軌道材料もどんどん増えてきて、種類ごとの適用が分かりづらくなっていませんか?特に、PCまくらぎやレール締結装置の種類が多く、覚えにくいですよね?
現在、何があって、どういった場合に使用するのか、順番に整理していきたいと思います。
※長さや曲げ加工の違いなど、細かい種類については割愛しています
目次
レール
(現在の普通レール)
一般区間のレールとして現在使用されているもので、小さいレールから順番に表示。記号で表す場合は、50Nや60といい、kgを省略して書くが、50Nに対し、60kgとkgを書く場合もある。
NはNew、PSはPennsylvanias Standard、TはTokaido Trunk Lineの意。ASCEはアメリカ土木学会(American Society of Civil Engineers)のこと。
- 30kgレール:1890年ごろにASCEで制定されたレール。
- 37kgレール:1890年ごろにASCEで制定されたレール。
- 40kgNレール:1961年に旧国鉄で設計し制定。30kg、37kgレールの形状を改良したもの。
- 50kgPSレール:1907年にペンシルバニア鉄道が制定したレール。
- 50kgNレール:1961年に旧国鉄で設計し制定。50kgPSレールの形状を改良したもの。
- 50kgTレール:Nレールと同時期に東海道新幹線用レールとして制定された。
- 60kgレール:1967年に山陽新幹線(新大阪~岡山)に使用するレールとして制定された。
(分岐器用/伸縮継目用レール)
Sは特殊(Special)の意。
- 50S形レール:40N用。1962年に旧国鉄で制定された。
- 70S形レール:50N用。1961年に旧国鉄で制定された。
- 90S形レール:60用。1970年に旧国鉄で制定された。
- 80S形レール:60用。1990年に製造開始、90Sは製造中止。
(レール形状)
(鉄道初期に使用されたレール)
- L字型レール:1776年にイギリスで考案されたレール。
- 魚腹型レール:1789年にイギリスで考案されたレール。
- T型レール:1820年にイギリスで考案されたレール。
- ビニョルレール:1836年にイギリスで考案されたレール。
- 双頭レール:1837年にイギリスで考案されたレール。東京~横浜、大阪~神戸でも使用した。
- 牛頭レール:1858年にイギリスで考案されたレール。
(接着絶縁レール)
製造方法の違いにより、湿式法と乾式法がある。現在は乾式法が使用されている。1本の長さは標準で6m、7m、10m、12mがあり、12mから片側6mを限度とし、それぞれの片側の長さにαを付けることができる。曲線半径別の適用範囲は以下のとおり。
- 従来形:現在も敷設は残っているが、継目板下部の接着層が部分的に剥離し、隙間に雨水が浸透し腐食・折損に至る事象が報告されてきた。
- 改良形:上記事象を解消するため、粘着テフロンシート部を設け、雨水等が浸透しない構造となっている。外観は真っ白の継目板である。
- 斜めIJ:突合せ面がテーパー構造となっており、車輪の乗移りを円滑化したもの。
(中継レール)
- 底部変化:レール底部で高さを揃えた一般的な中継レール。
- 頭部変化:レール頭部で高さを揃えた中継レール。長い延長を重軌条化する際に、1日で施工できない場合、まくらぎ高さをその都度変更しなくても接続できるようにした。
(熱処理レール)
- 頭部熱処理レール(旧HH):1963年に規格化されたレール全長の頭部に熱処理を施したもの。
- 端頭部熱処理レール(EH):1981年に規格化されたレール端部の頭部に熱処理を施したもの。継目部のバッターや剥離対策用にレール端の約100㎜範囲を熱処理したレール。
- 改良頭部熱処理レール(旧NHH):1988年に規格化されたレール全長の頭部に熱処理を施したもの。
- 頭部全断面熱処理レール(HH):現在は、頭部全断面に熱処理を施したレールが使用されている。急曲線の耐摩耗用として使用される。
(識別塗色)
(ロールマーク)
- 矢印:鋼塊の頭部の方向を示す。
- レール種別
- 製鋼法。LD:純酸素転炉製、OH:塩基性平炉製
- 製造業者の略語。NKK:日本鋼管、Ⓢ:新日鉄
- 製造年
- 製造月:1本1ヶ月の単位(写真は9月)
(刻印)
(参考文献)
- 解説 鉄道に関する技術基準(土木編)第四版
- 新版 軌道材料 新版軌道材料編集委員会 編
<画像引用元>
- JFEスチール株式会社 https://www.jfe-steel.co.jp/products/katakou/catalog/d1j-003.pdf
- 大和軌道製造株式会社 https://www.yamatokogyo.co.jp/kidou/product
コメント
コメント一覧 (2件)
初めてメールさせて頂きます。
古い線路のロールマークを調べている中、このブログにたどり着きました。
ここ何回か、北海道をゆっくり巡る旅しており、廃線になった駅や、汽車が保存されている場所なども訪れ、ここに残されているレールの古さに驚かされています。きっかけは、ある廃線駅で、熱心に線路を見ておられる方がおられ、お声をかけると、線路の年代を調べておられるとの事で、この時から少し興味を持つようになりました。
旅から戻り、時間が出来たところで、写真を基に、線路の歴史を学びなおしていますが、なかなか資料が少なく、困っていた所です。
北海道の、地元の方は、意外と線路の歴史にまでは目を向けられることは少なく、だんだんロールマークも消え去る運命にあります。
幌加の駅の様に、モニュメントで残せればいいのですが。
初めてメールさせて頂きます。
古い線路のロールマークを調べている中、このブログにたどり着きました。
ここ何回か、北海道をゆっくり巡る旅しており、廃線になった駅や、汽車が保存されている場所なども訪れ、ここに残されているレールの古さに驚かされています。きっかけは、ある廃線駅で、熱心に線路を見ておられる方がおられ、お声をかけると、線路の年代を調べておられるとの事で、この時から少し興味を持つようになりました。
旅から戻り、時間が出来たところで、写真を基に、線路の歴史を学びなおしていますが、なかなか資料が少なく、困っていた所です。
北海道の、地元の方は、意外と線路の歴史にまでは目を向けられることは少なく、だんだんロールマークも消え去る運命にあります。
幌加の駅の様に、モニュメントで残せればいいのですが。