若手技術者の中には、特に保線作業が外注化され直接作業に触れたくても触れる機会が少なく、どのように作業が行われているか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、橋梁上のまくらぎを合成まくらぎに交換する「合成化」と、その前段の安全設備の仮設を解説します。
目次
合成化とはどんな作業か
橋梁上の木まくらぎ(橋まくらぎ)は、耐久性の高い合成まくらぎ(樹脂製)への交換が進められています。バラストの無い橋梁上ならではの手順と、高所作業のための安全設備が特徴です。
安全設備の仮設・てっ去
- 軽便トロで単管・クランプ・落下防止ネット・足場板・番線を運搬する
- コロ付きキャッチをレールに取り付け、安全帯を引っ掛ける支点にする
- 落下防止ネットは、一人が振り子のように大きく振り、対側の一人がキャッチして渡す
- ころばし単管を通して橋桁にクランプで固定し、足場板を敷いて番線でくくり付ける
橋まくらぎ合成化の手順
- 橋梁前後の締結装置・フックボルト・犬くぎを緩解する
- 歩み板(エキスパンド)のU字フックを外して撤去し、まくらぎ継材も外す
- 橋梁前後のレールを吊り上げ、半コロを挿入してレールを下ろし、軌道パッドを剥がす
- 新まくらぎを載せたトロと空のトロを交互に運び込み、旧まくらぎを横に倒してハッカーで引き抜き、空のトロへ載せていく
- まくらぎを据える位置の桁上面に錆止めペンキを塗る
- チョンコと番号順に従い、新まくらぎを挿入していく ※桁のリベットに乗らないよう注意
- 軌道パッドを載せ、フックボルトを寸法表に従って間配り、取り付ける
- まくらぎ・床板・パッドの位置を微修正し、前後の有道床区間の締結装置を緊締する
- 水準を測定し、悪ければまくらぎ下に古パッドを入れて調整し、フックボルトを緊締する
- 橋梁前後で通りを確認して糸張りし、通り狂いのある箇所はレールベースを調整する
- 基準側の犬くぎを打ち、まくらぎ継材を取り付けてから残りの犬くぎを打つ
- 歩み板を中心に置いて穿孔し、U字フックで固定する
- 橋梁前後の有道床区間をジャッキとタイタンパーでこう上・つき固めして仕上げる
排水部(ドレン)まくらぎ合成化の手順
- 犬くぎ・軌道パッド・タイプレート・まくらぎ継材を外し、旧まくらぎを撤去する
- 合成まくらぎを挿入する ※現地加工が必要な場合は電動カッター・カンナで切断する(防護メガネ・マスク・集塵機を必ず使用)
- タイプレートと軌道パッドを合わせ、電動ドリルで穿孔して犬くぎを打つ
- まくらぎ下面の隙間や水準を、古パッドやパッキンで調整する
- 歩み板・まくらぎ継材を寸法に合わせて切断・穿孔・固定し、ペンキで再塗色して仕上げる
- 前後の有道床をつき固め、事後検測・跡確認を行う
安全のポイントと現場のコツ
- 橋上はまず足場と命綱。作業前の安全設備仮設が本番と同じくらい重要です。
- 合成まくらぎの切削は保護具必須。樹脂の粉じんを吸わない・浴びないよう、メガネ・マスク・集塵機をセットで使います。
- 水準調整は「下に入れる」。バラストが無いため、パッドやパッキンの挿入で高さを合わせます。
用語ミニ解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 合成まくらぎ | 樹脂と繊維で作られた高耐久のまくらぎ |
| 橋まくらぎ | 橋梁上で桁に直接固定されるまくらぎ |
| フックボルト | 橋桁にまくらぎを固定するボルト |
| 歩み板(エキスパンド) | 橋上の点検・歩行用の板 |
| まくらぎ継材 | まくらぎ同士の間隔を保つための部材 |
| 糸張り | 糸を張って通り(レールの直線性)を確認する方法 |
まとめ
合成化はバラストの無い橋梁上ならではの精密作業です。「足場→撤去→据付→水準調整→仕上げ」の流れと保護具の徹底を押さえましょう。
次の記事では「23.MTT跡作業・総つき固め編」を解説する予定です。
▼シリーズ「保線作業について学ぶ」を順番に読む
前:保線作業について学ぶ(21.分岐まくらぎ交換編)
次:保線作業について学ぶ(23.MTT跡作業・総つき固め編)
シリーズ目次:保線作業について学ぶ(全30回まとめ)
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