若手技術者の中には、特に保線作業が外注化され直接作業に触れたくても触れる機会が少なく、どのように作業が行われているか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、マルチプルタイタンパー(MTT)の後始末である「MTT跡作業」と、人力の「総つき固め」を解説します。
MTT跡作業の手順
MTT(大型機械)でつき固めた後は、散らかったバラストの整理と、機械が入れない箇所のつき固めが人力の仕事になります。
- MTTが通り過ぎてからトロをかける(載線する) ※必要があれば、排水部などの犬くぎを抜いて埋め木を入れ、MTTに通りを整正させる
- 照明を積んだケレン班のトロと、後続のつき固め班のトロに分かれる
- 主に締結装置周辺をサラエでケレン(バラスト整理)していく ※まくらぎ上に残った数個の石は気にせず、前へ前へ進む。他の人が済ませた箇所は重複しない
- 必要に応じて、軌間外(と軌間内)へ片押しでランマーをかけていく ※ランマーは1列に1台、蛇行させず直進。地上子やケーブル箇所は特に注意
- 後続のトロから、MTTがつき固めできない箇所(ケーブル・構造物際・木まくらぎ・EJなど)を人力でつき固める
- 跡確認を行う
総つき固め(人力)の手順
- 事前検測を行う ※継目落ちの場合は継目を中心に前後を含めた3点で検測する
- 責任者がレールの通り・高低を目視(拝見)し、落ちている箇所にジャッキを挿入してレベルまでこう上する ※ジャッキを効かせるのは手のみで行い、ジャッキ棒でこじらない(一気に上がりすぎる)。拝見は照明を背にして行い、拝見者へのライト直射やレール上の置き物は厳禁。絶縁継目は1目ずらしてジャッキを入れる
- ジャッキ前後を4人でタンパーによる8丁づきで固める ※起点方・終点方に2人ずつ、軌間外1人+軌間内1人。急曲線は内軌を4人で先につき、後から外軌をつく。ジャッキのマス目は両サイドをついてからジャッキを抜いてつく
- サラエでケレンし、バラストが少なければショベルで補充する
- ウマでかき上げを行う
- 必要に応じて、ランマーによる道床締固めや、道床固結剤の散布(つき固め範囲+前後、所定幅)を行う
- 事後検測・跡確認を行う
目次
管理者(軌道工事管理者)のポイント
- 仕上り検測表に、つき固め・締固め・固結剤散布のキロ程と延長を記入して管理する
- 締固めと固結剤は「つき固め範囲+前後1.5m」を基本とする
- 曲線区間では、現場の曲線諸元を作業責任者に伝え、前後との取付けを考慮した設定値を決める
用語ミニ解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| MTT | マルチプルタイタンパー。軌道を持ち上げてつき固める大型保線機械 |
| 8丁づき | 1本のまくらぎを8か所(4人×2丁)でつき固めるやり方 |
| 拝見 | レールの通り・高低を低い目線で見通して確認すること |
| マス目 | まくらぎとレールで区切られたつき固めの区画 |
| 地上子 | 列車へ情報を送る線路上の信号設備 |
| 固結剤 | バラストを固めて崩れを防ぐ薬剤 |
まとめ
つき固めは「上げて、突いて、整える」作業です。ジャッキの効かせ方と拝見の精度が仕上りを決めます。MTTの後も人の手が最後の仕上げをしています。
次の記事では「24.軌道整備(軌間直し・通り直し・分岐整備)編」を解説する予定です。
▼シリーズ「保線作業について学ぶ」を順番に読む
前:保線作業について学ぶ(22.橋まくらぎ・合成まくらぎ化編)
次:保線作業について学ぶ(24.軌道整備(軌間直し・通り直し・分岐整備)編)
シリーズ目次:保線作業について学ぶ(全30回まとめ)
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