若手技術者の中には、特に保線作業が外注化され直接作業に触れたくても触れる機会が少なく、どのように作業が行われているか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、ロングレール端部の伸縮継目「EJ」のレール交換手順を解説します。
目次
EJ(伸縮継目)とは
ロングレールは温度によって伸び縮みするため、その端部には伸縮を吸収するための特別な継目=EJ(伸縮継目)が設けられています。先の尖ったトングレールと受けレールが重なり合う構造で、交換のときはこの「重なり量」を温度に合わせて管理するのが最大のポイントです。
⚠️ 重なり量は「中位温度」(予想される最高レール温度と最低レール温度の平均)を基準に管理します。当夜のレール温度と設定温度の差に応じて重なりをずらす量を計算してから作業に入ります(計算式や基準値は各社の規程によります)。
EJレール交換の手順
- レールを軽便トロに積む際は、卸す方向と向きを考えて置く
- 旧レールをスチールテープで測り出す(トングレール・受けレールとも)
- 事前検測(軌間・通り)を行う
- EJ両外側のレール底部を研磨し、仮ボンドを取り付ける(信号関係の作業員がレールボンドを外す)
- 山越器で新レールを軽便トロから軌間外へ卸す
- 新レールをスチールテープで測り出す(トングレール・受けレールとも)
- 軌道工事管理者が新レールの寸法を旧レール上に白えんぴつで記入する ※開先前の開口量(10mm等)を溶接業者へ伝える
- 溶接業者がガス切断を行う ※冬期は緊張器で保持緊張する場合がある
- ボルト緊解機で旧レールの締結装置を緩解する
- 切断後、旧レールを山越器で吊り、受け台を敷いた軽便トロへ乗せる
- 新レールを山越器で吊り、敷設する
- 開口量を合わせて、再度、新レールの位置を確認する
- 溶接業者がGSW溶接を行う
- 旧レール・不要器具を搬出し、検測位置の印付けを行う
- 溶接が終われば溶接部をつき固め、必要によりランマーで道床を締め固める
- 事後検測・跡確認を行う
安全のポイントと現場のコツ
- 温度管理が最重要。重なりのずらし量を間違えると、レールの伸縮を吸収できず軌道に無理な力がかかります。冬期は保持緊張の要否も確認します。
- 測り出しは新旧レールとも、トング・受けの両方で。寸法の間違いは溶接後に取り返しがつきません。
- 開口量は溶接業者と事前共有。開先前の開口量を明確に伝えてから切断に入ります。
用語ミニ解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| EJ(伸縮継目) | ロングレール端部で温度伸縮を吸収する継目。エキスパンションジョイント |
| トングレール/受けレール | EJを構成する2本のレール。先の尖った可動側がトングレール |
| 中位温度 | 予想される最高レール温度と最低レール温度の平均。重なり量管理の基準 |
| 仮ボンド | レール切断中も信号電流を流すために仮設する電線 |
| 開先・開口量 | 溶接のためにレール間に確保するすき間とその量 |
| GSW溶接 | ゴールドサミット溶接。現場で行うテルミット溶接の一種 |
まとめ
EJレール交換は、通常のレール交換に「温度と重なり量の管理」が加わる作業です。測り出し・開口量・温度の3点を確実に押さえることが品質に直結します。
次の記事では「7.ロングレール取卸準備編」を解説する予定です。
▼シリーズ「保線作業について学ぶ」を順番に読む
前:保線作業について学ぶ(5.レール積込・運搬編)
次:保線作業について学ぶ(7.ロングレール取卸準備編)
シリーズ目次:保線作業について学ぶ(全30回まとめ)
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