Twitterでの情報発信はコチラclick

保線作業について学ぶ(13.ロングレール設定替編)

 若手技術者の中には、特に保線作業が外注化され直接作業に触れたくても触れる機会が少なく、どのように作業が行われているか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、ロングレールの軸力を整える「設定替」を解説します。

目次

設定替とはどんな作業か

 ロングレールは温度変化で伸縮できないぶん、内部に軸力(押し合い・引っ張り合いの力)が溜まります。敷設時の温度が設定温度から外れていると、夏の張出しや冬の破断のリスクが高まるため、レールを一度切断し、緊張器で所定の力をかけて正しい状態に「設定し直す」のが設定替です。

緊張器のセット手順

  1. 緊張器(シリンダー・クランプ)を所定の位置に敷き並べる
  2. クランプは2人1組で部品を取り付け、上下反転させてレール腹部に当て、シリンダーにセットしてピンで止める ※反転させた時にピン穴がシリンダー側を向くように置く
  3. 油圧ホースを伸ばし、カップラーを各部に接続していく ※接続口に圧力が溜まっていることがあるので、ピン等で軽く叩いて抜くと接続しやすい
  4. 圧力計のレバーは「伸ばす(引張る)」側に合わせてから圧縮する ※この段階では接続ピンは抜いておき、レバーには絶対に触らない

設定替の手順

  1. 起点方班・中央班・終点方班に分かれ、器具をトロごとに分配する
  2. 所定の間隔でガイドローラーを置き(コロと重ならないように)、コロは約7m間隔で入れていく ※ガイドローラーを締結ボルトに取り付け、バールでレールを上げてパッドを取り、コロを入れる
  3. 中央部に緊張器をセットし、その間の締結装置を緩める ※中央部前後の2組のみ板ばねを外し、ボルトだけ挿しておく
  4. 緊張器前後のレール底部を研磨し、仮ボンドを取り付ける
  5. 溶接業者が中央部をガス切断し、周辺を研磨する
  6. 緊張器の接続ピンを挿し、第1段階の圧力(例:5t)にセットする ※トン数の戻りを考慮し、計器表示は目標+2t程度にする
  7. 緊張器から外側の締結装置を所定位置(L2)まで緩め、ボルトに油を付けていく ※緊解機は2人1組で、トロを押す人と一緒に移動する
  8. 以降は無線で連絡を取りながら、起点・終点とも「圧力を上げる→緩解範囲を広げる」をステップ状に繰り返していく(P3→L3→P4→L4…)
  9. 所定の緊張力に達したら、両外のトロを中央に戻し、両外へ向かって締結装置を締めていく
  10. 必要に応じて、まくらぎ数本おきにレールを持ち上げてパッド位置を直す
  11. 溶接が終わる頃に、溶接部の両外3本目のまくらぎから順に締結装置を締め、仮ボンドをてっ去する
  12. 溶接部の研磨が終わったら周辺の締結装置を締め、つき固め(必要により締固め)を行う
  13. 両端のポンチをゼロ位置で打ち直す
  14. 跡検測を行い、軌間が悪ければブロックやくさびを入れ直して仕上り値に収め、跡確認を行う

管理者(軌道工事管理者)のポイント

  • 切断位置と「最終◯◯t・5tずつ」の指示を、ポンプ操作者から見える向きでレールに書いておく
  • 移動量測定位置(L1、L2…)をまくらぎ上に書いておく
  • 設定替区間内にふく進杭があれば、施工後にゼロでポンチを打ち直す

用語ミニ解説

用語意味
軸力ロングレール内部に溜まる長手方向の力
設定温度ロングレールが無応力となるよう管理上定められた基準温度
ステップ(P・L)圧力段階(P)と締結緩解の範囲(L)を交互に進める施工方法
ポンチふく進などの管理のためレールに打つ基準点
ふく進杭レールの縦移動(ふく進)を監視するための基準杭
トン数の戻り緊張器の圧力が馴染みで少し低下する現象

まとめ

設定替は「力を数字で管理する」作業です。圧力計の読み・移動量・締結範囲を無線で共有しながらステップを刻む、チームワークの見せどころです。

次の記事では「14.遊間整正編」を解説する予定です。


▼シリーズ「保線作業について学ぶ」を順番に読む
前:保線作業について学ぶ(12.レール交換跡作業・発生レール運搬編)
次:保線作業について学ぶ(14.遊間整正編)

シリーズ目次:保線作業について学ぶ(全30回まとめ)
▼保線の資格・テキスト
保線業務に有用な資格とは?
鉄道設計技士(鉄道土木)受験対策テキストの詳細

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次