軌道材料もどんどん増えてきて、種類ごとの適用が分かりづらくなっていませんか?特に、PCまくらぎやレール締結装置の種類が多く、覚えにくいですよね?
現在、何があって、どういった場合に使用するのか、順番に整理していきたいと思います。
※長さや曲げ加工の違いなど、細かい種類については割愛しています
目次
レール締結装置
【木まくらぎ用】
(犬くぎ類)
- 犬くぎ:一般用とNレール用があり、それぞれ並用とタイプレート用、凍上用に分かれる。
- 角止めくぎ:メートルねじ使用分岐器の床板、クロッシングの一部、継目板用に使用。
- 丸止めくぎ:ウィットねじ使用分岐器の床板に使用。
- レール用ねじくぎ(螺締ボルト):60kg分岐器や橋上LR用タイプレート、コンクリート道床用タイプレートなどで使用されている。橋上LR用は犬くぎに置き換えられつつある。螺くぎともいう。
- ばねくぎ:一部残っているが、現在はほとんど使用されていない。
- 犬くぎ発條:犬くぎを緩みにくくするために犬くぎの頭に取り付けるもの。俗にコウモリと呼ばれる。
(タイプレート類)
- A形:B形の旧型タイプで現在はほとんど使用されていない。
- B形:ショルダーがないタイプ。30kg用、37kg用(40N用)、50kg用がある。
- B形継目用:40N用の継目用。
- C形:F形の旧型タイプで現在は新設されていない。F形とよく似ているが、軌道パッドは無い。
- E形:B形から改良されショルダーが施されている。現在の仕様では軌道パッドは無い。
- E形継目用:継目用としてE形の幅広になっているもの。50PS用と50N用がある。
- F形:C形を改良し二重弾性締結にしたもの。50kg用(50N用)と50T用がある。
- F形継目用:
- F形補強:F形に補強ばねを加えたもの。締結ボルトを50PS継目用に交換する必要がある。
- G形:60kgの継目用。支え継ぎ用、かけ継ぎ用、絶縁継目かけ継ぎ用がある。在来線用と新幹線用に分かれる。
- H形:50Nの継目用。支え継ぎ用のみ。
- H形改良:H形を改良し、脱落防止やボルト・ナットとの接触防止など対策がとられている。
- Ⅰ形(一般用):60kgの橋まくらぎ用。在来線用は犬くぎで、新幹線用はねじくぎとなっている。
- Ⅰ形(統一形):一般用の緩みやすい欠点を改良し、二重ばね構造とした。橋上ロングレール用のⅢa形、Ⅲb形とタイプレートの互換性がある。
- Ⅱ形:新幹線用Ⅰ形から第一種軌道パッドとロックナットワッシャを加えたもの。
- 橋上ロングレール用:60kgはⅢa形(固定)、Ⅲb形(滑動)、50NはⅢ形(固定)、Ⅳ形(滑動)と分かれている。
- ガードレール敷設区間用:脱線防止レール敷設区間に使用する。37kg~50N用まであり、一般用と継目用がある。
- 踏切用:踏切ガードが敷設されている区間に使用する。各種レール用があり、一般用と大盤用、弾性締結用がある。
(締結ボルトの標準緊締トルク)
【コンクリートまくらぎ用】
(板ばね類)
- 旧5形:1961年ごろから3号用として使用。緩みやすい、ゲージブロックが摩耗しやすいなどの問題があった。
- 旧5S形:5形(60kg用)の旧型。
- 5形:1982年から旧5形・5S形の欠点を改良し使用されている。ばね先端を切断加工した接着絶縁継目用もある。50N用と60kg用に分かれる。
- 5N形:5形と同様、二重ばね構造となっているが、ゲージブロックをなくし、先端を伸ばした形状となっている。
- 5M形:5N形の締結ボルトの緩みの抑制を目的としたもの。アンカーボルトを使用している。
- 6形:4号用として使用される。T形ボルトや横圧パッド、レール押え金具などで構成されている。50N用と60kg用がある。
- 旧9形:6号用として使用されていたが、ボルトの抜け上がりや軌間拡大のリスクから現在は使用されていない。
- 旧9改形:トンネル内の電食用に旧9形の絶縁性を高めたもの。埋込栓カバーの使用や軌道パッドを大きくしている。
- 9形:旧9形の欠点を克服したもの。大と小の板ばね、くさび形のばね受台の組合せで軌間を調整できる仕様となっている。
- 旧10形:7号用として使用されていた。1枚ばねで、ボルトの緩みや軌間拡大から現在は使用されていない。
- 10形:旧10形から改良され二重ばね構造となっている。40N用と50N用がある。
- 11形:8号用として使用されている。
- 下級線用:下級線用の押え金具を使用したもの。埋込栓がPC鋼線と接触する場合を想定して絶縁フェラーと呼ばれる絶縁材で保護している。
- 伸縮継目特殊区間用:木まくらぎのⅠ形(統一形)で使用している板ばね・ボルトを使用している。50N用と60kg用がある。在来線用と新幹線用に分かれる。
- 旧F1形:1F号用として使用されていた。1枚ばねで、凍上用のためレール下とばね受台下にはさみ木を挿入している。60kg用と50N用がある。
- F1形:旧F1形から改良し、二重ばね構造としている。40N用と50N用がある。
- 旧102形:3T用、4T用に使用されている。
- 特殊形:特殊区間用と継目用、ケーブル防護用がある。特殊区間用とケーブル防護用は、ばね受台の長さ以外同じである。継目用は、ボルトや板ばねなど、部品が異なる。
- 102形:旧102形より、さらに抵抗力を増やし、レール小返り量を減少させている。一般用と接着絶縁継目用に分かれており、軌道パッドの7㎜タイプと12㎜タイプがある。
- 旧高速形:新幹線の高速化に伴って開発されたもので、3H用、4H用に使用されている。基本は102形と同じだが、板厚を7㎜から6㎜にしたこと、埋込栓の位置を10㎜外側にずらしたことなどが相違点である。
- 高速形:旧高速形から改良し、二重ばね1枚の構成、板厚を7㎜にした。一般用と接着絶縁継目用がある。
(ナブラ形)
- 一般区間用:3号用と6号用、特殊区間用がある。
- 接着絶縁継目用:継目板と干渉しないよう、一般区間用のばねクリップを短く加工したもの。補強継目板の箇所にも代用できる。
(締結ボルトの標準緊締トルク)
(ゲージブロック、ばね・受台の組合せによる軌間調節量)
【鉄まくらぎ用】
- パンドロール形:お椀形とH形スチールに使用される。
- くさび形:H形スチールに使用される。
【スラブ軌道用】
- 直結4形:トンネル内直線区間に使用する。ばね受台で軌間を調整する。一般用と接着絶縁継目用、こう上用がある。
- 直結5形:トンネル内曲線区間および明かり区間に使用されている。締結が緩みやすいという欠点から、直結5-8形アダプターを使用し、板ばねを8形に変更することも可能。一般用と直線継目用がある。50N用と60kg用に分かれる。
- 直結7形:直結5形、8形より大型で高低・通り調整量をさらに大きくしたもの。一般用と継目用がある。50N用と60kg用に分かれる。
- 直結8形:直結5形の欠点を改良したもの。一般用と曲線用、直線継目用、直線接着絶縁継目用、急曲線接着絶縁継目用、通り直し用、カントこう上用などがある。50N用と60kg用に分かれる。
- 伸縮継目スラブ区間特殊区間用:伸縮継目を撤去した後に使用するもの。スラブ中間用とスラブ端用で構成される。
【省力化軌道用】
(コンクリート道床用)
- 道床直結Ⅰ形:木や合成のブロックをコンクリート道床に埋め込んだタイプレート式のもの。一般用と継目用がある。
- 道床直結Ⅰ形特殊区間用:道床直結Ⅰ形にショルダーを設け、調整パッキンで高さ調整ができるようにし、タイプレート下に絶縁板を挿入する構造となっている。接着絶縁継目用もある。
- 道床直結Ⅰ形特殊区間用(幅広タイプ):道床直結Ⅰ形特殊区間用の通り調整を可能にしたもの。
- 直結Ⅲ形:コンクリートブロックをコンクリート路盤に埋め込んだタイプレート式のもの。一般用と継目用、絶縁継目用がある。
(舗装軌道用)
- B・C型舗装軌道用:LPC用とLPC-N用がある。一般用(+二重ばね使用)と継目用(支え継ぎ用・かけ継ぎ用)、絶縁継目用に分かれる。
- E型舗装軌道用:直線用と急曲線用がある。
(鋼橋直結軌道用)
- 鋼橋直結Ⅰ形
- 鋼橋直結Ⅱ形:50N用と60kg用がある。
- 鋼橋直結Ⅲ形
- 鋼橋直結改良形:一般用と継目用がある。
(弾性まくらぎ直結軌道用)
- 弾直Ⅰ・Ⅱ形:一般用と継目用がある。50N用と60kg用に分かれる。
- D型弾直軌道(着脱式弾性まくらぎ直結軌道)
(TC型軌道用)
- 座面式調整型パンドロール
- タイプレート式パンドロール
(締結ボルトの緊締トルク)
(ばね・受台、絶縁押さえ金具の組合せによる軌間調節量)
【外国製の締結装置】
さまざまな締結装置があるが、ここでは日本でも使用されているもののみ掲載します。
(パンドロール形)
線ばねを用いたイギリスの締結装置で、木まくらぎ用、PCまくらぎ用、鉄まくらぎ用、コンクリート道床直結軌道用がある。インシュレーターをばねとレール底部の間に挿入し、軌間を調整する。軌間の調整量に応じて1㎜ずつ色分けされており、その形から俗に石鹸ともいう。
- e2009クリップ:バラスト軌道用
- PRクリップ:直結軌道用
- ファーストクリップ:eクリップから施工性を向上したもの。新幹線で使用されている。
(フォスロー形)
- フォスロー形:木まくらぎ用やPCまくらぎ用、スラブ軌道用、直結軌道用がある。ドイツ製。
(ナブラ形)
- PCまくらぎの項を参照。フランス製。
(インシュレーターの組合せによる軌間調節量)
【軌道パッド】
(用途による分類)
- 第一種:まくらぎ上に敷くもので、まくらぎ表面を保護するもの。
- 第二種:ゴム製で弾性力を確保したもの。
(使用箇所による分類)
- 木まくらぎ用:防腐剤に対する耐油性がある。50N用は角に切欠き、60用は短辺中央に切欠きがあるのが特徴。
- PCまくらぎ用:電気絶縁性に優れている。
- 直結軌道用:レールだけが移動しやすくなる鋼板付パッドや鋼直結橋梁の地絡対策として鋼板付に代わってEB材、ナイロン材などがある。
(レール調整パッキン)
- 注入式調整パッキン(可変パッド):HMP使用区間以外の区間に使用する。厚みは3~14㎜(平均5㎜)とする。
- 電熱式調整パッキン(HMP):使用区分は、「1.ロングレール可動区間」「2.伸縮継目部」「3.分岐器部」「4.定尺レール区間」「5.その他特に必要とする区間」となっている。作業器具の重量が重い、材料コストが高価、施工が天候に大きく左右される、という問題から下記のPA板が開発された。
- 樹脂製隙間調節用パッキン(PA板)+微調整板(ライナー板):3㎜≦(T+t)≦13㎜の範囲内の組合せで調整する。
- タイプレート下鉄板:15㎜を限度に2枚まで挿入することができる。
- はさみ木:犬くぎの凍上用を使用する際にタイプレートの下に挿入しかさ上げするもの。縦はさみ木と横はさみ木がある。
(参考文献)
- 解説 鉄道に関する技術基準(土木編)第四版
- 新版 軌道材料 新版軌道材料編集委員会 編
<画像引用元>
- 帝国製鋲株式会社 https://teikoku-seibyo.com/railway
- 新日本エスライト工業株式会社 http://www.eslite.co.jp/railpad.html
- 興和化成株式会社 https://www.kowakasei.co.jp/products.html
- 住友商事株式会社 http://sumitomocorp-railwayproducts.com/pandrol/index.html
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